宇宙からみた森林消失 国連食糧農業機関(FAO)によれば、森林は地球上の全面積の10%、陸地の1/3を占めています。 1990年代の10年間で消失した森林は1億6000万ヘクタール、日本列島の4倍の広さになります。 これを、もう少し実感のある数字にしてみると、1秒間にテニスコート20面分、1時間でニューヨークのセントラルパーク5つ分、1日で種子島の総面積に近い440平方キロメートルという、ビックリするような猛スピードで森林が消えていることになります。 森林が伐採される主な理由は、材木としての利用(商業伐採)の他に、農地や牧草地、住宅地への転用などが上げられます。 最も森林消失のスピードが速いのがブラジル、アマゾンの森で、年間に230万ヘクタール(2003年)もの森が無くなっています。 例えばブラジルのロンドニア地方では、膨れあがった国内人口を支えるため、また、中国などへの食糧の輸出需要から、焼き畑によって森を燃やし農地を増やしてきました。 その様子を、NASAのスペースシャトルが定期的に撮影した写真があります。 わずか30年の間に、広大な面積が農地に変化している様子がよくわかります。 アマゾンは雨が多いから、またすぐに森に戻るよ、という人もいるかもしれません。でも、実は雨がある地域に森が多いのではなく、森があるから雨が降るのです。樹木は土中の水分を根から吸い上げ、幹を通して葉っぱから蒸散させています。その水蒸気が雲となって雨を降らせます。森が無くなると、水蒸気が発生しなくなり、雨も降らなくなります。つまり、いったん森が無くなると、降雨量が減り、その結果土地が荒れて、荒れ地や砂漠になっていく可能性もあるのです。このままアマゾンの森の伐採が続くと、100年後には完全に森を失ってしまうとも言われています。ブラジル政府は1988年に森林を保護する政策に転換し、様々な努力を続け、2005年には森林破壊が減少しています。しかし現地では複雑な利害が絡み合い、いまだに劇的な改善には至っていないようです。 もちろん、森林の伐採が深刻なのはアマゾンだけではありません。アースリウムの地球儀で「現在:原生林のみ」をクリックしてみてください。人の手が入っていない原生林は、もうほんの少ししか残っていません。森の世代交代のタイムスケールは数百年〜数千年です。人間はどうしても1年から数年単位で考えていて、目の前にある利益を追求する傾向にあるようです。「今が良ければ、未来はどうなってもいいや」という考えをあらためるのは難しいことなのでしょうか。 ※Google Mapsでもブラジル、ロンドニアの航空写真地図を見ることができます。 →ロンドニア地方をGoogle Mapsで見る |