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わずか4%!? 日本のエネルギー自給率

 今度は「エネルギー自給率」で地球儀を見てみましょう。自給率1位はノルウェーの727%。この国は北海の天然ガス資源を持っているからです。2位はサウジアラビアで411%。3位はベネズエラで336%。どちらも産油国です。
 日本は暗い色で表現されていますね。日本は世界第4位のエネルギー消費国にも関わらず、自給率はわずか4%(2006年)で先進諸国の中でも最低レベルです。たくさんの家電製品に囲まれた日本人の暮らしを支えるエネルギーは、そのほとんどが輸入に頼っていることになります。エネルギー資源を海外に頼っているということは、石油の高騰などが、あっというまに経済に大きな影響を与えることになります。2008年の石油高騰のニュースは耳に新しいと思います。

 では、少ない資源でエネルギーをまかなうためには、どんなことが必要でしょうか。

 まずは省エネルギー。日本は省エネに関しては、オイルショックがあった1970年代から積極的に取り組んできました。その結果、生産時にエネルギー効率の良い工場ができたり、少ない電力で動く商品が作られたりするようになりました。一般の人の省エネ意識も非常に高く、省エネは日本のお家芸といってもいいでしょう。

 次は新しいエネルギーを創っていくこと。北欧の国々は化石燃料依存社会からの脱却を掲げて、それぞれの国が、その国の国土にあった自然エネルギーを取り入れています。火山の国、アイスランドでは地熱発電。海に囲まれたデンマークは洋上の風力発電。森が多いスウェーデンは木質バイオマス発電。原子力発電を廃止したデンマークでは、風力発電は既にエネルギー全体の20%を占め、2020年までに50%にしようとしています。
 火山、海、森といえば、日本は3つとも揃っている国です。北欧に比べて緯度が低いので、太陽光も十分に活用できます。日本は、自然エネルギーをうまく使えば自給率を上げることが可能な国なのです。北欧との大きな違いは、暮らしている人の数。1億人を超える人口を支えるには、しばらくは原子力も欠かすことができないのが現状です。しかし原子力発電は、チェルノブイリの原発事故で学んだように、一度大きな事故が起きると周辺地域は深刻な被害を受け、世界規模で影響が広がる諸刃の技術です。地震の多い国ではリスクが高く、テロの標的にもなりやすい。さらに放射性廃棄物の処理など、未来に先送りになっている多くの問題を抱えています。

 新しいエネルギー資源を探そうという考えもあります。たとえば、海底に凍りついた状態で埋蔵されているメタンガス(=メタンハイドレート)などはその候補です。日本近海にも埋蔵されていることがわかっています。しかし、もしメタンガスが空気中に排出されると温暖化が促進することになりますし、採掘技術もまだ確立していません。
 いずれにせよ、地下に埋蔵された資源は、一時的にはエネルギーを賄うことができますが、長期間にわたって持続的に供給することは不可能です。遠い未来を見据えた議論をする必要があります。

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