百年の愚行(ONE HUNDRED YEARS OF IDIOCY)
山極寿一著/NHK出版

映画『2001年宇宙の旅』の冒頭に、猿人が振りかざした骨が空中に舞い、それが宇宙船に変わる印象的なシーンがある。狩猟の道具が武器に変わる、つまり戦争の起源を狩りに求めているわけだが、著者はこの見立てを一蹴。狩猟と戦争は別だ、霊長類はむしろ、食糧と交尾の相手をめぐる争いをいかに回避するかを模索し、社会性を発展させてきたと説く。長年ゴリラなどの参与観察を続けてきた研究者の主張だけに、非常に説得力がある。