著者は「オリエンタリズム」の理論で知られたパレスチナ系米国人の思想家。知識人を、アウトサイダーであり、アマチュアであり、現状の攪乱者であると規定し、公衆に向けて、あるいは公衆になりかわって、思想や意見を表象=代弁(レプリゼント)せよと説く。意義申し立てを行う相手は、国粋的民族主義や階級意識や白人・男性優位主義など。いまや多くの人が知識人になりうる時代だが、そのためには、しかるべき言語能力と権力に抗する覚悟が要る。