銀行強盗罪で投獄された経験を持つ、異色の哲学者による技術論。現代は、人間性を開発=搾取する「ハイパー産業時代」であるという認識のもと、「技術が科学と不可分となり、効率性と目的が混同される」近現代が哲学的に批判される。フェリーニの『甘い生活』などを例に挙げつつ、写真や映画と、バイオテクノロジーをも含むデジタルテクノロジーが比較される第2巻が特に刺激的。我々は記憶の産業化に抗うことができるだろうか?