第2次世界大戦中、ユダヤ人を中心におよそ600万人が強制収容所に送られ、虐殺されたホロコースト。この「ユダヤ人問題の最終的解決」に関わり、輸送計画などを立案・実行したアドルフ・アイヒマンの裁判の記録。ユダヤ人哲学者のアーレントは、アイヒマンを「悪魔・怪物」と位置付けたかったイスラエルの世論に抗して、冷静な観察と事実の調査に基づき、「自分は命令に従っただけ」という被告を小心者の役人に過ぎないと喝破した。