Imagination
2012.06.20 瀬戸 義章
ガーデニングの先生から、綿の芽の扱い方について教わる photo by yoshiaki seto
「綿の芽はとても繊細だから、すぐ近くの雑草は抜かずにハサミで切って下さい」。説明を受けながら、腰をかがめて、慎重に小さな雑草をつまんでいきます。1カ月前に綿花の種まきをしたという畑には、4センチほどのクローバー型の双葉が生えており、その周りに雑草が生い茂っていました。
6月9日の土曜日、NPO法人green birdによる東日本大震災被災地支援のボランティアツアーが行われました。あいにく小雨の降り続くお天気でしたが、参加者のボランティア40人は2グループに分かれて、綿畑の除草・畝(うね)立て(作物を育てるために土を細長い直線状に盛り上げること)と種まきに精を出しました。
green birdは「きれいな街は、人の心もきれいにする」をコンセプトにしたNPOで、日本国内34カ所と、パリ、シンガポール、スリランカ、ガーナで清掃活動を行っています。震災直後に仙台チームの支援をはじめたことがきっかけで、ボランティアツアーを開催するようになりました。2011年の7月から12月までの第1期は、仙台市若林区の農業復興に協力し、そして今年の5月からスタートした第2期支援では、福島県いわき市の久之浜地区をお手伝いしています。
久之浜は 地震・津波・火事、そして原発事故により大きな被害を受けた地域です。人口3,800人のうち、死者は63人、行方不明者は12人に上りました。現在、被災地域は、堤防のかさ上げや、津波よけの緑地づくりといった区画整理が進められています。
そんな中、農業による地域復興を考え、耕作放棄地を「ありがとうファーム」へと開墾したのが金成清次さんたちです。東北各地で行われている「オーガニックコットンプロジェクト」によって綿花を育てるほかに、野菜作りも今年の3月からスタートさせました。
だが、放射性物質の問題が常に取り沙汰される福島での野菜作りには、高いハードルがありそうです。
「もちろん、失敗するかもしれません。でも、福島で、いわきで、安全な野菜を作って、売って、食べてもらう。それは必要なことだし、やらなければならないことなんです」と、金成さんは言います。
ちなみに、6月9日の久之浜の放射線量は、毎時0.10マイクロシーベルトでした。1年間に換算すると、0.876ミリシーベルト。これは、日本の自然放射線量の平均値である1.5ミリシーベルトのおよそ半分に過ぎません。
このボランティアツアー、日帰りで参加できる手軽さもあってか、毎回申し込みはすぐに定員となってしまいます。「被災地に一度も行ったことがなかったけれど、ずっと気になっていた」という方が大勢参加していました。畑仕事で汗をかいて、温泉で汗を流し、居酒屋で地元の人とふれあう。そんなツアーが月に1、2回の頻度で開催されますので、興味のある方はgreen birdのwebサイトをチェックしてみて下さい。なお、今週末(6月23日)出発の便が少しだけ空いているそうです!
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