除去活動と被害者支援
地雷が埋まった地域では、問題解決のためにどんな活動が行われているのでしょうか。ICBLのように条約を作る大きな活動は、そうした現場での活動があったからこそ始まりました。 まずは、地雷除去活動。どこともなく埋まっている地雷を見つけ出して除去する活動です。数千万個も埋まっていると言われる地雷を除去する活動は、危険も伴い、時間もコストもかかります。除去技術の研究も進められていますが、金属探知機では探せない地雷があるなど一筋縄ではありません。結局、いまだに危険な除去作業と安全チェックは人の手で直接行っているのが現状です。いつ終わるともしれない作業がいまも続けられています。 地雷除去の苦労についてJCBLの林さんはこのように話してくれました。「たとえ話ですけれども、あるビルの中に1個地雷があるというのがケースA。ケースBは、10個地雷があるとします。その時『あなた、どちらのビルに入りたいですか』という質問をしたらどうでしょう。1個でも10個でも、どちらでも入りたくないですよね。1個でもあるのであれば、それだけで危険なんです。除去したとしても、ほんとうに安全かどうかをチェックするのはとても時間がかかります」。 地雷や不発弾の危険回避教育も大事な活動です。地雷や不発弾の種類や形を覚え、触ってはいけないということ教えます。しかし教育が効果をあげても、貧困が厳しい地域では、金属でできた不発弾を集めて売ってお金にしようとする人たちもいるなど、単純ではありません。 地雷を回避するために、地雷原の地図を作る活動もあります。しかし、そもそも地雷が埋められた場所や数のデータがあるわけではありません。聞き取り調査などを行い、過去に被害があった、戦いがあったといった情報から推測していくことになります。怪しいところには地雷マークを立てて、囲いを作って安全かどうかをチェックし、地雷がみつかれば除去活動を行います。さらに問題が深刻なのは、洪水や雪解け水などの自然現象で流されるなど、地雷は簡単に移動してしまうので、きちんとした地図を作ることはとても難しいのです。 被害者支援は、まずは地雷の被害にあったときに手術等を行う医療活動。車いすや義足などの補助具を使ってクオリティ・オブ・ライフを高めるためのリハビリテーション。リハビリと同時に、心のケアや、教育、職業訓練など障害を持った被害者が社会に順応していくための支援が必要になります。さらには、社会自体が被害者を受け入れていくためにバリアフリーにしたり、健常者と障害者が分け隔てなく働いたり学んだりできる環境作りなど、息長く、幅広い視野が必要です。 |