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ewerk（イーヴェルク）という変電所の跡地を使った「Ethical Fashion Show」のイベント会場　　photo by Hideko Kawachi

毎年1月と7月に行われるベルリン、ファッションウィーク。今年1月のファッションウイークでは15日から17日にかけて「グリーンファッション」のトレードショー（見本市）「Ethical Fashion Show Berlin」のほか、恒例となった「GREENshowroom」も同時開催され、ファッション界のグリーンブームを実感させる盛り上がりを見せました。

豪華な5つ星ホテルを舞台に、今回で7シーズン目となる「GREENshowroom」では、27のハイファッションブランドを紹介。ラフで素朴、どこか垢抜けないというイメージを払拭（ふっしょく）する洗練されたデザインが、グリーンファッションの新しい展開を感じさせました。また、オーガニック素材を使ったものだけでなく、生産者や労働者に配慮するフェアトレードにこだわっていたり、トルコで家庭内暴力の被害者となった女性たちが作るアクセサリー「SeeMe」などのように社会に貢献するプロジェクトによるものもありました。

昨年始まったばかりの「Ethical Fashion Show」は、カジュアル、ストリートウェアに的を絞ったトレードショー。フェアトレードやオーガニックのエコ素材を用い、1着ずつベルリンで縫製する若手ブランド「Milde」や、ベジタブルタンニング（天然植物素材によるなめし）を用いたレザーを使った靴「Grand Step」、救命胴衣などをバッグにアップサイクリング（廃材などに付加価値をつけて商品化すること）した「Bag to Life」など、幅広い分野、切り口のものが登場。今回は前回に比べて、15店多い、世界21カ国から98のブランドが出店しました。

しかしなぜ今、グリーンファッションの注目度が高まっているのでしょうか？　まず、その背景にはファストファッションの台頭があげられます。ほぼ毎月のように安価な新作コレクションが店に並び、あっという間に消費されていきます。ドイツ連邦統計局の発表によると、2010年ドイツの家庭から出された衣料品ゴミの数は10万300トンにも上ります。2004年には8万2400トン。その増加ぶりは、急激な右肩上がりを見せています。そこで、「新たな消費」そのものを減らすことに注目が高まり、アップサイクリング、リサイクルのデザインも増えているそう。

また、昨年11月にバングラデシュで120人以上が亡くなった衣料品工場での火災事故では、防災設備の不備や劣悪な労働環境など「安い理由」があぶりだされたことも、ファストファッションに対する消費者の意識を変えた出来事のひとつでしょう。

「Ethical Fashion Show」にも出店しているハンブルク発のエコブランド「Recolution」によれば、この火災後、問い合わせが増加したそうです。

今回の両イベントでは、大手の業者や世界各国からのファッションジャーナリストたちが訪れ、将来性を感じさせましたが、グリーンファッションは市場においてまだニッチにすぎず、取扱店も少ないのが現状です。本当に「グリーンな」ファッションを支えるのは買う側の意識ではないでしょうか。買う前にラベルを見て、その洋服が「本当に必要？」「値段が安すぎない？」「どこで誰が作っているの？」などと考えてみてください。

もちろん、ファッションはデザインが一番大事。着たら気分があがったり、TPOに合わせてどうやって自分をアピールするかを考えたり...。おしゃれはやはり楽しくなければ！ でも、その「楽しさ」が、大量のゴミや劣悪な労働環境の上に成り立っているものだったら、なにかすっきりしないのです。心から、おしゃれを楽しむために。ずっと大事にできる、納得の1枚を見つけたくなるはずです。