Art & Design
2013.11.07 平澤 直子
「横浜工場夜景的・真空管アンプ」。柏原さんが残業後に見ては癒されていた工業地帯の夜景を再現した (c)masataka manmoto
青い、夜景のような美しい光を放つアンプをとおり、流れるのは壮大なオーケストラの演奏。ほのかにアロマが香るその神秘的な空間の一方で、ファブリックで包んだ、精巧だけれども可愛らしいオリジナルのスピーカーが、インテリアとして部屋をいろどる。そんな、さまざまな音の楽しみ方をデザインした企画展「よこはまクラシック音楽の地産地消のすすめ Vol.3」が、11月3日から同5日まで、横浜・元町あかいくつスタジオで行われました。
同展はタイトルにもあるとおり、地産地消をテーマの一つとしていて、トップ画像の「横浜工場夜景的・真空管アンプ」は、地元横浜在住のデザイナー柏原政彦さんとサウンドエンジニアの佐藤正司さんが、横浜に隣接する川崎市内の35事業所の集まり「等々力工業会」から出る廃材を利用して横浜・川崎から東京にまたがる京浜工業地帯の夜景を再現した作品です。さらに、視聴用の音楽として地元神奈川フィルハーモニー管弦楽団の音源が用意されていて、地元のエンジニア・デザイナーが地元の廃材で作ったオーディオで地元のオーケストラの演奏を聴くという、徹底した「音楽の地産地消」という新しいコンセプトが体感できるようになっています。
また、廃材を利用したこのアンプは、通常は捨てられるものに新たな価値を付加して再利用する「アップサイクルデザイン」を実現させています。同会場の展示の一つ、加賀田恭子さんのデザインした「着せ替えスピーカー」も、スピーカーを包むファブリックにカーテンの端切れなどを利用することもでき、こちらにもアップサイクルデザインの可能性を見いだすことができます。
なお同展は、横浜音祭り2013のプログラムの一環として開催されました。横浜市内各所で300をこえるプログラムを開催しているこのお祭りは11月30日までです。ご興味のある方はこちらをご覧ください。
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