Art & Design
2014.06.24 河内 秀子
道路に面したバルコニーや窓にドイツ国旗を飾っている人も多い。こちらの家はもうアートの域? photo by Hideko Kawachi
ドイツでは、2006年にワールドカップ(W杯)の開催国となって以来、国内のサッカー観戦フィーバーは留まるところを知りません。
700メートルに渡って大通りを通行止めにし、60平方メートルという巨大スクリーンで見る10万人収容の「ファンマイル」をはじめ、サッカーバーやレストランはもちろん、キオスクやスーパーマーケットにいたるまでモニターを設置して椅子を置いて「パブリックビューイング」を盛り上げているのです。
試合がない日でも、窓辺や車にドイツ国旗を掲げたり、ドイツカラーのフラワーレイを身につけている人も多く、町中でドイツカラーのウィッグやユニフォーム、楽器などのファングッズが大量に販売されています。
しかし、これらのグッズはW杯が終わった時点で不要となってしまうもの。次回は4年後まで出番がないとあって、廃棄される数も膨大だろうと想像がつきます。大半がリサイクル不可な素材で、一部は環境に有害な物質が含まれていることが報告されているそう。
それをふまえて、HAWK大学ヒルデスハイムの学生が生分解性のファングッズを考案し、話題を呼んでいます。このアイデアを実現させたのはデザイン学部の学生、シャンタール・ディアツさん、ジーナ・ファイコッシュさん、ティナ・シェーンハイトさんの3人。
W杯開催期間と同じ6週間以内で分解されるというのですが、土に還った後、そこには国のカラーの花(ドイツならば黄色、赤、黒)が咲くのだそう。素材は、チーズクロス(薄手の綿布)、セルロース繊維、水性接着剤、コーンスターチ、砂糖と水性色素など。そして、オーガニックかつ近郊で生産されているタチアオイやキンレンカの種など。
旗やフラワーレイは試作が完成していますが、まだ生産と販売のパートナーが見つかっていないそう。「もし、このファングッズがいつか道ばたに捨てられてしまったとしても、二度目の人生があるようにー」。そんな思いを込めたファングッズ、次のW杯までには販売が実現されますように!
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