Art & Design
2014.08.19 加藤 彩菜
映画「OCCUPY LOVE」より
世界中には様々な社会問題を扱ったドキュメンタリー映画がたくさん存在します。それらの中には、通常のメディア報道などでは見えてこない、私たちの知らない世界の側面を見せてくれる作品がたくさんあります。しかし、内容がどんなにすばらしくても、多くの人の目に届かないまま上映を終えてしまう作品は少なくありません。大きな予算がかけられるハリウッド映画などと違って、ドキュメンタリー作品は予算が少ないがゆえに、大きな映画館では上映されなかったり、上映期間がとても短かったりするからです。
そのように、上映機会の少ない良質なドキュメンタリー映画を世界各地から集めて、いつでもオンライン上で見られるサービスを8月12日、貧困問題などに取り組むボーダレスジャパン(本社・新宿)が始めました。サービス名は、「BORDERLESS PEOPLE(ボーダレス・ピープル)」。1作品399円で、友人にオンラインの視聴チケットをプレゼントすることもできます。
扱っている映画のテーマは「3.11」「社会変革」「エネルギー」「貧困」「ライフスタイル」「環境」「人生観」など、私たちの価値観を揺さぶるものばかりです。
例えば「LIGHT UP NIPPON」は東日本大震災が起こった2011年夏、東北の沿岸部10カ所で花火を同時に打ち上げるイベントを実現させるまでを追ったドキュメンタリーです。東日本大震災やその後の電力不足を受けて、東京湾の花火大会が中止になりました。そうした中で一人の会社員がふと、準備されていた花火は一体どうなるのか疑問に思ったところから、「使われなかった花火で東北を元気にできないか」と、追悼と復興の祈りが込められたプロジェクトLIGHT UP NIPPONが立ち上がったのです。開催までの道のりは、900時間におよぶ取材映像をもとに丁寧に描かれ、ナレーションは女優の黒木瞳さんが担当しました。テーマ曲と音楽には坂本龍一さんも参加しています。
このサービスを運営するボーダレス・ジャパンの田口一成さんは、「配信するのは、大切な気づきを与えてくれる映画ばかりです。この映画配信事業を通して、一人でも多くの方に、社会の問題に関心を持ってもらうキッカケが創れればいいと思っています」と話しています。
映画や、テレビなどの映像になんらかの影響を受けたという人は多くいると思います。私自身も、小さい頃にテレビで見た発展途上国のドキュメンタリーの印象は強烈でした。ゴミだらけの道路に住んでいる小さな子どもたち。親もいなくて、お金や食べ物を歩く人々に乞う姿。自分が普段生活する中では知り得ない、海の向こうの知らない国のことを映像によって知りました。
地球の裏側で起っている出来事も、インターネットを通じて知ることができる現代。世界各地の社会問題や、それに立ち向かう人々の姿。「BORDERLESS PEOPLE」には、あなたに新しい世界を見せてくれる映画が待っているはずです。
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