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国際地雷除去デーに思う 風力地雷撤去ボール「マイン・カフォン」のその後

2015.04.13 平澤 直子

Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by ekenitr

4月4日の10回目の「地雷に関する啓発および地雷除去支援のための国際デー」に関連して、地雷探知犬のデモンストレーション(米ニューヨーク)や写真展(ニューヨーク)、地雷が埋められた国の子どもが描いた絵画展(伊ジェノバ)など、世界ではさまざまなイベントが行われました。

地雷または戦争により残された爆発物による死者または負傷者は年間3308人(2013年。うち79%は一般市民で、そのうち46%は子ども)。毎日9人が地雷や爆発物によって命を落としたり、けがをしていることになります。1999年のオタワ条約(正式名称は「対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約」。カナダのオタワで署名された)発効以来、署名国では地雷が廃棄、撤去され、負傷数も年々減少していますが(1999年には毎日約25人が負傷していた)、依然として被害は絶えません。

地雷は安価な武器ですが、その撤去には莫大な資金が必要とされ、まだ人力に頼る地域がほとんどです。

 
地雷撤去労働者の仕事

そんな中、2012年に登場した地雷撤去ボール「マイン・カフォン」は人々に衝撃を与え、世界各国のメディアで取り上げられました。マイン・カフォンは、地雷負傷者数トップの国、アフガニスタンのカブール郊外で幼少期を過ごしたマスード・ハッサニ氏が、オランダのデザイン学校の卒論プロジェクトに作ったもので、風の力で地雷原を転がり、故意に地雷を踏んで爆発させていく仕組みです。幼少のころに自分で作って遊んだおもちゃを思い出して制作したというこの装置は、廉価な竹、ゴム、プラスチックと少量の鉄、それにGPSからできており、コストは地雷1基あたり15から30ドル(約1800〜3600円)と、重機で地雷除去行う場合に比べて格段に低く抑えられます(重機の場合は地雷1基あたり1200ドル=約14万円)。
 

Mine Kafon | Callum Cooper from Focus Forward Films on Vimeo.

ハッサニ氏はオランダ政府と提携を結び開発を進めましたが、現モデルでは軍事用に向かないと判断されたため、クラウドファンディングサービスのKickstarterで資金を集めることにしました。結果、4169人から11万9456英ポンド(約2100万円)の資金を得、現在、世界を飛び回りながら(昨年秋には来日も。マイン・カフォンは東京・六本木の21_21 DESIGN SITEに展示された)、より速く、より安く、より安全な形を目指して改良中です。2014年にホームページでイメージが公開された新型は従来のようなボール型ではなく俵型となっていて、その詳細はまもなく発表される予定です。

ハッサニ氏と弟のマフムード・ハッサニ氏は、昨年1月1日のフェイスブックへのポストで、「国連の基準をクリアするためのテストを行いたい」と述べています。彼らのテクノロジーと国連の地雷教育活動(地雷原近辺の住民に地雷や爆発物の見分け方などを教える活動)が両輪となり、2025年のリミット(※)までに地雷が0、負傷者も0となるよう、願ってやみません。

※2014年6月にモザンビークのマプトで開催された対人地雷禁止条約の第3回再検討会議で、ようやく締結国は2025年までに地雷のない世界を作ることを目標に定めた。



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平澤 直子