Art & Design
2015.05.19 平澤 直子
5月13日、フランスで第68回カンヌ映画祭が始まりました(5月24日まで)。
日本から是枝裕和監督の「海街diary」、河瀬直美監督の「あん」、黒沢清監督の「岸辺の旅」が出品され、「海街diary」に出演する綾瀬はるか、長澤まさみらがカンヌに登場したこともあり、日本のテレビも連日、映画祭の話題で持ちきりです。
さて、映画祭の見どころのひとつはセレブのファッションですが、この世界中が注目する舞台に、今年もエシカルな衣装をまとって登場した人がいます。映画「英国王のスピーチ」で有名なコリン・ファースの妻、リヴィア・ファースです。
Beautiful SoulのドレスとAspiga Beachのクラッチバッグで登場したリヴィア・ファース。どちらもエシカルブランドである LIVIA FIRTH/instagram
リヴィア・ファースは2010年、ゴールデングローブ賞授賞式のレッドカーペットに古いウェディングドレスを、アカデミー賞授賞式のレッドカーペットには、廃棄されたファブリックから作られたドレスを着て登場しました。以降彼女はレッドカーペットには常にグリーン(サステナブルでエシカル)なドレスを着て登場するようになり、そんな彼女の「グリーンカーペットチャレンジ(GCC)」に賛同したグッチやアルマーニ、ショパールにステラ・マッカートニーといった有名ブランドやデザイナーが、次々にグリーンなファッションを発表するようになりました。そしてメリル・ストリープ、キャメロン・ディアス、ケイト・ブランシェットといったセレブが次々にこれらのグリーンなドレスを着てレッドカーペットに登場することで、GCCの知名度はどんどん上がってきています。
プラスチックをリサイクルして作ったドレスで今年のMet Gala(米メトロポリタン美術館のガラパーティー)に登場したリヴィア・ファース LIVIA FIRTH/instagram
リヴィア・ファースはGCCを核に、弟のニコラ・ジウジョッリとともに設立したブランドコンサルタント会社「Eco-Age」を通して、「『サステナビリティ』という価値を付け加えることによってビジネスを成長させる」よう、数々のブランドをリードしてきています。それらの功績からUN Leader Of Changeに指名され、 UN Fashion 4 Development Awardなど数々の賞を受賞した彼女は最近、さらに仕事の手を広げ、映画製作に乗り出しました。
彼女がエグゼクティブ・プロデューサーを務めた映画「THE TRUE COST」は、「私たちの服の犠牲になっているのは誰?」という言葉とともに、私たちが着る服、それを作る労働者、そしてファッション業界が世界に与えているインパクトを描き出したドキュメンタリーで、今月15日にカンヌで上映されたばかりの期待作です。
「人はその人が食べたものでできている」という言葉がありますが、この映画には、「人はその人が着ているものを通して理解し合う」という言葉が出てきます。自分が着る服は自分をあらわす。今度華やかなレッドカーペットを見る機会があったら、ぜひそんな視点でセレブの服を眺めてみてください。もちろん、自分が着る服を選ぶ時も、その視点を忘れずに!
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