Art ＆ Design
今月のレコメンド：Instagramの女性応援プロジェクト#MyStory
2015.11.26 平澤 直子
Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Vladimir Pustovit
Facebook,Twitter, Line, Instagram. SNSは私たちの生活に欠かせないものとなりました。そのうちのひとつ、写真共有プラットフォームInstagramは、誰もが気軽に自分の撮影した写真を共有して楽しむ場として人気ですが、写真を通じて自分を表現する場として利用するユーザーも増えてきています。
そうした流れのなか、Instagramは10月26日、#MyStoryというプロジェクトを立ち上げました。同プラットフォームの女性ユーザー（トランスジェンダーの人も含む）の中から、他の女性をインスパイア（勇気づけたり、行動のきっかけを与えたり）するような活動を行っている女性を選び、そのストーリーを紹介するものです。同日米ロサンゼルスで行われたキックオフイベントでは、下は10代から上は73歳まで、職業も、アーティストから途上国支援活動家、高校生から母親まで、多種多様な28人のユーザーが招待され、それぞれの写真を展示しました。
ここでは、印象に残った4人を紹介したいと思います。
Sarah Bloom （写真家）
Sarahは46歳。2006年より、自分自身のポートレートを表現方法として用いています。中年にさしかかった女性のアイデンティティーの探求が彼女のテーマで、この写真では、中年女性が社会でどのような扱いを受けるのか―不良品、旧モデルとして廃棄される―そんな場面を表しています。中年女性の置かれる現状・心情を、怖いぐらい的確に表している作品だと思います。
Roxx （タトゥーアーティスト）
タトゥーアーティストのRoxxは、作品＝人の体に彫ったタトゥーを写真に収めることで、自分の仕事の成果を記録しているのだと言います。この写真は、乳がんを克服した女性の胸を飾るタトゥーで、手術痕の残る、ネガティブなイメージのある胸を、タトゥーの持つ力でアートへと昇華した、素晴らしい作品となっています。
Tess Holliday （ビッグサイズモデル）
アメリカを始めとする先進国では、日本よりも許容されているとはいえ、やはり太った人に対する風当たりは強いものです。そんな中、果敢にビッグサイズ専門のモデルとして活躍するTess。彼女の堂々とした姿に、どれだけたくさんのぽっちゃり女性が勇気づけられたことか！ 「他の女性を勇気づける」という＃MyStoryのコンセプトにぴったりの女性です。
Melissa Spitz （アーティスト）
Melissaは26歳。彼女の写真の被写体は彼女の母親で、彼女が6歳の頃から精神疾患を患っていたと言います。彼女の写真は独特で、Instagramの特性を活かし、数枚の写真を組み合わせて初めて、写真の全体像が見えるような手法をとっています。画面をスクロールしていかないと全体像が見えないのです。一枚見ただけではわけがわからない、これが、精神疾患を隠喩しているのだと彼女は言います。一方、私は彼女の作品を見たとき、「窓の外（または中）から見ているようだ」と感じました。精神疾患を患う母親を、自分のテリトリー外から、少し距離を置いた場所から観察している、そんな風に見て取れました。人は誰もが、自分をも客観視することが必要であるとよく言いますが、それはつまりこの写真のように、窓の外から見ているような感覚を持つことなのだろう、と作者の意図以外のところでもインスパイアされた写真でした。
#MyStoryプロジェクトでは今後も、活躍する女性たちをInstagramの公式アカウントで取り上げていく予定です。また、アメリカの人気テレビ番組「Oprah Winfrey Show」の司会を務めていたOprah Winfreyが手がける雑誌「O, The Oprah Magazine」とも連動予定で、同誌と、同誌のInstagramアカウントの両方にも掲載されるということです。ユーザーからの投稿も可能で、自分がシェアしたいストーリーとともに#MyStoryを付けて写真をInstagramに投稿すれば、上記アカウントや同誌に掲載される可能性もあります。我こそは！と思う女性陣、ぜひ、投稿してみてください。
関連するURL／媒体
