Art & Design
2016.10.25 ささ とも
© 福田和貴
女性にとって(男性にとっても!?)、結婚式は一生ものの憧れの舞台。豪華な衣装に身を包み、ロマンチックな演出に感情が高ぶり、食べきれないほどのごちそうに囲まれて、普段とは違う自分になれるのも結婚式に憧れる理由の一つ。でも、そんな結婚式とは一味も二味も違うのが、9月18日に福岡県糸島市で行われた「エシカルなアウトドアウェディング」です。
この結婚式の新郎新婦、志田浩一さんと畠山千春さんは東日本大震災をきっかけに、持続可能なライフスタイルを求めて、自然豊かな糸島市に移住しました。シェアハウスを運営し、食糧は自給自足、エネルギーまでも作ってしまおうというのが二人の暮らし方。新婦の畠山千春さんは、野菜を自家栽培するだけでなく、狩猟免許を取得して山で猪などを捕え、自ら解体して料理を振る舞うほど「食のプロセス」を大切にしています。そして、多くの人に「食のつながり」を知ってもらおうと、書籍『わたし、解体はじめました―狩猟女子の暮らしづくり』を執筆したり、屠殺(とさつ)ワークショップ(以前、地球ニュースでも紹介したイベント)を開催したりと、精力的に活動しています。
そんなカップルですから、結婚式も「自分たちで作ろう」ということになりました。二人のライフスタイルに合わせた、環境にも人にも優しいエシカルな結婚式です。こだわったのは「衣装」「食事」「エネルギー」「ゴミ」など。そして、式場は糸島市が誇る美しい芥屋(けや)の海岸です。
花嫁のウェディングドレスは材料や作り手のことまで考えて、フェアトレードを利用しました。新郎新婦の靴は二人が捕獲した猪の革を使い、革細工職人のお友だちに作ってもらったもの。衣装にもぴったりの自然な色合いで素敵です。おもてなしの料理は二人がしとめたジビエや、オーガニック農家から取り寄せた野菜が使用されています。華やかでおいしそう。
狩猟でしとめた猪の革から作られた靴。自然な色合いが素敵 © 福田和貴
華やかでおいしそう! © 宇宙大使☆スター
食器や箸(はし)は参列者が持参してゴミを減らし、どうしても出てしまったゴミはNPOが設置したゴミステーションで分別。その量はゴミ袋数枚分で収まりました。会場の設営は捨てられた傘などでリメイクしたタープを使用したほか、演出も飾り付けもゴミを減らす工夫を忘れません。そして苦労したのがエネルギー。結婚式でエネルギーのことまで考えるのは、エネルギー自給が二人のライフスタイルの一環だからこそ。自然エネルギーの会社の手助けもあって、当日は雨天でしたが、太陽光で蓄電した電力だけで賄うことができました。
ゴミの削減もエシカルウェディングには欠かせません © 宇宙大使☆スター
電気も自給です © 宇宙大使☆スター
「エシカル」「持続可能」「自然エネルギー」「地産地消」......。こうしたテーマのどれか一つでも心がけて暮らしに取り入れている人がたくさんいます。人生最大のイベントとなる結婚式でも、普段の生活で取り組むテーマを活かしたいと考える人がきっといるはず。「日々の小さな選択や行動が社会を作っている、そう考えると家庭は小さな社会......夫婦二人で、これからも楽しく豊かな社会を作っていきたい」こんな志田さんと畠山さんの想いが、たくさんのカップルにも伝わることでしょう。
実った稲をバックに地元福岡の久留米絣(くるめかすり)のドレスをまとって。いつまでもお幸せに ©亀山ののこ
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