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イラクの遺跡が危ない!

2010.07.15 アマサワエンジィ

The Standard of Ur is actually a hollow box decorated with mosaics of lapus lazuli red limestone and shell set in bitumen Sumerian 26th century BCE:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by mharrsch

2003年の米軍によるイラク侵攻時にも多発した遺跡の略奪が、最近になってまた盛んに行われ、重要な文化財産が危機にさらされています。

侵攻以降は米軍が取り締まっていた略奪も、2008年にはこの部門にあたっていた兵はすべて撤退。同時に発足した遺跡警察は、5000人を見込んでいましたが、現在の人員数は106人、本部があるオスマン帝国時代の建物を守るので精一杯だそうです。

まだ政治的混乱が続くイラクでは、法や行政組織が機能不全に陥っており、遺跡警察も実質的には稼働していないのが現状です。予算も十分に行き渡っておらず、県によっては遺跡へ出向くためのガソリン代さえも支払えない状況だそうです。

シュメール文明の主要都市、ウルなどを有するイラク南部、ディカール県の元遺跡調査員のアブドラミル・アル=ハムダニさんは「ガードマンもいない、フェンスもなにもない。しかも遺跡は大規模。やりたい放題だ」と話します。狙われているのは、皿や花瓶に含まれる金や宝飾類、くさび型文字の遺跡といった密売しやすいターゲット。中には紀元前7世紀、バビロニア時代までさかのぼる古代遺物もありますが、いとも簡単にそうした貴重な品が荒らされているのです。

現在の危機をイラク戦争時、バクダッドの国立博物館で横行した略奪になぞらえるディカール県の調査員もいます。荒らされた博物館は世界の関心や寄付を集め、略奪された1万5000点の半分近くが返還されましたが、今回被害にあった遺跡はそもそもまともな発掘調査が行われていないため記録がなく、盗難物返還の可能性も、遺跡に残されていただろう古代文化の把握も絶望的だと指摘しています。



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このニュースの地域

ディカール、イラク (アジア/オセアニア


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