Art & Design
2010.12.29 高橋 彩
Camel:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by xikita
展示ホールの壁の目立つ場所にくくりつけられたレジ袋やビニールひもの塊。決して見て楽しい作品ではありません。なぜそれをわざわざUAEからアメリカまで運んできたのでしょうか?
この塊は、かつてラクダの胃に収まっていたものなのです。捨てられたレジ袋の残がいを食べれば食べるほど塊は膨れ上がり、やがて胃を詰まらせ、じわじわと苦しい死を招くのです。
展覧会を企画したのは、カリフォルニア大学デイビス校デザイン学科の准教授でもあるアーティスト、アン・サバノー氏。彼女はネットでこの塊のことを知ります。塊を発見したのは、ドバイに拠点置く科学者であり活動家であるウルリッヒ・ヴェルナリー博士。何年もレジ袋の使用を減らすよう訴えていた彼は、死んだラクダや牛などが捨てられている、リプサの「死の丘」でそれらを回収しました。リプサはUAE北部の首長国ラス・アル・ハイマの砂漠にあります。
サバノー氏は博士に連絡を取り、11月始めに30キロの塊を受け取りました。「人々がレジ袋を使うとどうなるのかを明示したい」。彼女のメッセージはシンプルです:平均でたった12分しか使わないような、レジ袋を使わず、エコバッグを使おう!
サバノー氏は、今回の作品が美的価値のないことを認めています。しかし、来場者がその出所を知ったとき、最初は奇異に見えたものがたくさんの意味を持ってくると、彼女は確信しています。2011年1月23日から大学のデザインミュージアムで開催されるこの企画展では、大きく不格好な塊が、彼女のメッセージを来場者に突きつけることでしょう。
塊のほかに、展示スペースの床から天井までを使い、アメリカの平均家族が一年に使用するレジ袋と同じ量のレジ袋で制作した巨大な煙突のインスタレーションも設置されます。開催は3月11日まで。
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