Art & Design
2011.02.26 岩井 光子
しりあがり寿《ゆるめ~しょん:air》2007年/ヴィデオ/作家蔵
SHIRIAGARI Kotobuki, yuru_mation: air 2007 / video / collection of the artist
リュミエール兄弟が映画を初めて世に送り出してからまだ100年ちょっと。今や映像のない世界は考えられません。映像は私たちの無意識の感情やイマジネーションを可視化させ、言葉を越えた力で人々の心を揺さぶり、ときには現実にも大きな影響を与えます。
興行成績や視聴率などといった、ともすると狭い枠組みで考えてしまいがちな映像ですが、既存のジャンルにとらわれない映像の可能性を追い求めようという野心的な試みが、毎年2月に東京都写真美術館で開かれている恵比寿映像祭。10日間、写真美術館の全スペースを使って展示、上映、ライブ・イベント、トークセッションなどを同時多発的に行うのですが、スクリーン上映もあれば、そこに収まりきらないインスタレーションや野外展示、地域連携プログラムまで、内容はとにかく多彩で、刺激的。最先端の映像の「勢い」を肌で感じることができます。
今年の注目作家は昨年、カンヌ国際映画祭で最高賞を受賞したタイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督やチェコアニメーションの巨匠、ヤン・シュヴァンクマイエルなど。アニメに関する作品を集めているのは今年の特徴で、しりあがり寿さんも、おじさんが飛んでいたり、寝ていたりする非常に「ゆるい」感じの「ゆるめ~しょん」で初参加しています。26日にはあの成瀬巳喜男監督の無声映画に電子音楽のライブ演奏をつけるユニークな試みも。
映像は起きたまま見る夢、ととらえた今年のテーマは「デイドリーム・ビリーバー」。映像はもっと自由であっていい。そう思わずにはいられなくなる年に一度のお祭りなのです。開催は2月27日まで。
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