Art & Design
2011.04.07 Think the Earthスタッフ
ベイサイドマリーナホテル横浜の建設風景 (c)吉村靖孝建築設計事務所
東日本大震災で今も多くの人が避難所暮らしを余儀なくされています。今後の課題は1日でも早く、被災者が安心して暮らせる仮設住宅を提供すること。
政府は5カ月で6万戸の仮設住宅の建設をめざし、既に一部が着工・完成していますが、用地確保の難しさに加え、資材や建設作業員の不足も心配されています。
そんななか、若手建築家の吉村靖孝さんが、海運コンテナの規格を応用した新しい発想の仮設住宅を提案。「エクスコンテナ・プロジェクト」を始動しました。
なぜコンテナなのでしょう? 仮設住宅は通常2年で撤去されますが、吉村さんが提案するコンテナ住宅はユニット単位で移動・リユースが可能で、仮設から「常設」の家に転じることができるのです。たとえば、地元に戻りたくても家を建てることができない人に仮設住宅を払い下げ、そのままその人の土地に移動し、普通の家として住んでもらうことが可能になります。
今回の震災は規模が大きすぎて、仮設住宅と再建住宅を分けて考えることはできないと吉村さんは言います。共通してデザインすることで、より効率的な支援につながるというわけです。コンテナ建築は内装や外装をすべて工場で完成させてから運ぶため、資材の輸送や建設作業も軽減できます。基本のユニットであれば、普通の仮設住宅と同程度の値段(約300万円)で建設可能とのこと。
吉村さんはコンテナ型の客室棟が話題を呼んだベイサイドマリーナホテル横浜の設計者。このときのノウハウを活かし、被災者のために安全で快適な家を届けたい--そんな思いで始めたのがこのプロジェクトです。
「自治体や一人でも多くの個人に知ってもらい、復興への足がかりを築いてもらいたい」と吉村さん。サイトで支援者や募金を呼びかけ、1棟を製作するめどが立ったそうです。目標は1年で50棟。量産できるわけではありませんが、仮設住宅に新風を送り込むことはまちがいありません。
※海運コンテナを日本国内でそのまま建物に用いることはできないため、コンテナの規格を採用して作ったユニットを使用します。
関連するURL/媒体