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Art & Design

被災した子どもたちのメッセージがNYのギャラリーへ

2011.06.01 岩井 光子

作品搬入後のNY、AIGA National Design Centerで。前列左から2番目が中川さん、向かって右が的場さん、鈴木さん

5月中旬の5日間、米ニューヨークの5番街にあるAIGA National Design Centerの壁いっぱいに、宮城県女川町や茨城県高萩市などで東日本大震災の被害を受けた子どもたちの絵やメッセージ、約300点が飾られました。「震災に負けない」と健気な気持ちを表す子もいれば、「走りたい...」とつぶやくようにしたためる子もいて、それぞれの心中が伝わります。

この展覧会は、ユニバーサルデザインの視点から被災地の子どもたちを始め、高齢者や障害を持つ人などに対し、暮らしや仕事にかんする様々な支援を息長く続けていこうと立ち上がった非営利団体Hug Japan(トライポッド・デザインとベネッセコーポレーション、日本航空などの企業参加による共同運営プロジェクト)が開いた「We are Here-被災地からの小さなメッセージ」展。津波や原発事故で日々の暮らしが大きく変わってしまった子どもたちが、自然に心に浮かんだ思いを自由な発想で表現してもらおうと企画したアートとデザインによる「Art+Design and SMILE」の活動がきっかけでした。

Hug Japan代表発起人の中川聰さん(トライポッド・デザイン代表)と的場一成さん(ベネッセコーポレーション)は震災後、約1カ月間で40回近く宮城県や茨城県の小学校や各地の避難所に足を運んだと言います。始めは遠慮がちだった子どもたちも次第に心を開き、配られた和紙に自由に絵やメッセージを描くように。胸を打つ作品が集まるにつれ、こうした声を世界にも発信したいと今回の企画が始動しました。的場さんの出身地、宮城県女川町では、実家の写真館と両親を津波で失ったカメラマンの鈴木麻弓さんとの出会いがあり、震災後に彼女が撮りためた女川の写真や彼女の父親の遺品も合わせて展示することになったのです。

来場者からは「個人として心の交流ができた気がした」といった反響も。「遠く日本から離れた場所で(震災の)実態や状況を案じている人たちに、ニュースとは異なる確かな生活の温度のような感覚を届けられれば」と中川さん。特に海外での震災報道は、顔の見えない被害規模や死亡者数といったデータに偏りがちですが、同展は被災地の子どもたちの声を直接世界へ届けた希少な試みと言えるのかもしれません。

子どもたちの声に呼応するようにハーレム地区のミドルスクールの学生たちを始め、来場者もたくさんのメッセージを残しました。今後、パリ、台湾で巡回展を予定。ゆくゆくは世界に広がったメッセージのリレーを一冊の本にして被災地に届ける計画です。

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このニュースの地域

ニューヨーク (南北アメリカ

岩井 光子