Art & Design
2011.06.25 大野 多恵子
岩手でのカットボランティアの様子 写真提供:アースホールディングス
日本全国に205店舗とロンドンに店を構えるエコな美容室、その名も「EARTH」。東日本大震災後、どの店でも節電は当たり前のこととなりつつありますが、それ以前から店内の照明はこまめに消す、電動椅子の電源をオフにするなどの省エネ対策を積極的に行い、パーマ液やカラー剤の廃液をきれいにするという画期的なバイオ洗浄剤の開発にも成功しているのです。また、東北の被災地でカットボランティアを行うという美容室ならではの取り組みが注目されています。
その原動力を生み出してきた國分利治社長は、かねてから「美容室として環境問題に取り組みたい」と考え、分子生物学者の福岡伸一さんとの出会いによって、2009年にバイオ洗浄剤「ソフトエコマテリアルズ」の開発を実現。パーマ液の変性剤、カラー剤に入っている色素には有害物質が含まれ、どちらの廃液も、環境中の生物に悪い影響を及ぼしますが、粉末状の「ソフトエコマテリアルズ」は、そうした汚染物質を無害化したり、吸着させたりする作用があるのです。各店舗で使われるようになっただけでなく、家庭でも使用できるパッケージで発売もされているとのこと。
「地球も自分も美しく」という「EARTH」のコンセプトは、震災後の支援にも生かされました。救援物資を届け、募金を始め、そして岩手県大船渡市や石巻市の避難所でシャンプーやカットの無料サービスを行いました。ボランティアとして出向いたのは、東北に店舗を構えるスタッフのほか、東京からかけつけた國分さん自身やスタッフ数人。1週間で540人へのサービスを行い、まだ入浴もままならないたくさんの人たちに喜ばれました。
國分さんは、「これがサービス業の原点ではないかと思います。東北のスタッフは自ら被災した人もいますが、髪の手入れをすることでみなさんが笑顔になっていただけたことが、とてもうれしかったとのこと。今後も長期的な復興サポートを考えています」と話しています。
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