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エコたわしで「縁づくり」-被災地で暮らす女性たちの手仕事プロジェクト

2011.11.15 瀬戸 義章

エコたわしのタグには、メッセージの送り先が書いてある photo by tomomi hasebe

こちらは、アクリル毛糸でできた愛くるしいタコの「エコたわし」。お皿の油汚れも、お茶碗にこびりついたお米も、お風呂の湯あかも、水とたわしだけで落とすことができるすぐれもの。このタコさんの作り手は、宮城県南三陸町の仮設住宅やみなし仮設(被災者が借りた民間賃貸住宅)に暮らす女性たちです。

津波により住まいが流され、避難所で親しくなった人びととも別れ、仮設住宅という狭い環境で過ごす毎日。閉じこもりがちになり、ストレスもたまる一方。もともと、働き者のお母さんたちだったのですから、「することがない」辛さがこたえます。そこで、宮城県の復興支援に取り組む、RQ被災地女性支援センター(RQW)は9月から「手仕事プロジェクト」をはじめました

エコたわしや、稲わらのリースといった小物をつくる。その空間こそが、素敵な交流の場となります。おしゃべりしながら、あるいは夢中で、久しぶりの編み物に取り組む一日。宮城県の南三陸町や気仙沼市、登米市、石巻市の仮設集会所で手づくり講座は開かれ、11月7日までに、のべ227人が参加しました。

ちなみに、南三陸でつくられるエコたわしが「タコ」なのは、南三陸町の志津川が真ダコの名産地だったからです。西の明石、東の志津川といわれ、「かむほどにアワビの味がする」逸品でした。ほかにも、気仙沼大島では「椿たわし」など、地域の名産をモチーフにした、物語のあるエコたわしが生まれています。

できあがったエコたわしの可愛らしさに、ボランティアから「買いたい!」との声が上がり、イベントでチャリティー販売するようになりました。商品には、一つずつタグがついています。私の手もとにあるタコのタグには、こんなメッセージ書かれていました。

「南三陸町志津川中瀬町の高橋登美子がつくりました。マスコットとして、エコたわしとして、どうぞ」。返事が送れるよう、連絡先もありました。

先日、購入者からこんな手紙が届いたそうです。子どもたちの自然体験キャンプ教室で、洗剤のいらないエコたわしを使ったということ。子どもたちのメッセージと、写真が添えられていました。なによりも作り手の笑顔につながります。

「被災地のニュースがどんどん減って『忘れられる』ことがみなさん辛いのです。どうかこのプロジェクトを通して、関心を持ち続けてください」、RQWの石本めぐみさんは言います。

このエコたわし、今は「復興祭」などのイベント販売に限られていますが、ゆくゆくはアンテナショップなどで販売する予定です。ただ、講座の人気も高まり、それにともなって材料が不足しているそうです。かぎ針やとじ針、糸切りばさみやアクリル毛糸などをお持ちの方はRQWまでお送りください。詳細はこちら

材料を送ること、買うこと、手紙を交換すること、ほんの少しの縁づくりが、生きる助けになっていきます。

そして、縁のつくりかたを覚えることも、未来の災害を生き抜く力になっていくのです。



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