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今改めて日本の魅力を伝えたい、日中合作映画「チンゲンサイの夏休み」

2011.11.21 高橋 彩

被災された方の精神的復興のためだけでなく、日本にいる人にも世界中の人々にも、今改めて日本の魅力を伝えることはできないだろうか。そのために、自分たちにできることを、自分たちにできる形で作り上げたい。そんな思いから集まった日中混合キャスト・スタッフによる自主制作映画「チンゲンサイの夏休み」の上映が、香川県で11月27日まで開かれているさぬき映画祭(PDF)で始まっています。

企画・脚本を担当した映像作家・松田奈月さんは上海在住。彼女の北京留学時代の友人や上海在住の日本人など総勢20人余りのスタッフ・キャストが、瀬戸内海に浮かぶ小さな島、粟島と志々(しし)島で約1カ月に及ぶロケを行いました。「監督、カメラマンは香港人、子役は台湾人と日本人のハーフ、そのほかにも北京、杭州、上海から集まったメンバーで構成された現場の共通言語は中国語です。島の人たちとは言葉は通じなくても、笑顔を交わすうちに心が通じ合っていきました」と松田さん。

物語は、上海出身の母と息子が日本人の父親に会うため、瀬戸内海の島へやってくるところから始まります。カギとなるのは志々島にある樹齢1200年以上で天然記念物の大楠(くす)。神秘的な大楠と島の人々の過去が交錯し、物語が展開していきます。

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志々島の人たちの思いを紡いできた大楠前での撮影風景


「ロケのために大きな樹を探している中で、志々島の大楠にたどり着きました。千年以上も変わらず島を守り続けてきたその存在感。畏怖堂々としているのに、どこまでも懐深く受け入れてくれる大楠との出会いが、この映画のロケの始まりでした。また、島での生活は忘れていた大切なことを思い出す日々でもありました。粟島の少年自然の家での共同生活、終日のロケで肉体的には疲労の極限でしたが、島の人々の笑顔に支えられ、海ほたるの繊細な輝きを見ながら帰途に着き、潮騒の音を聞きながら終える1日は、まさに『夏休み』にふさわしい贅沢さでした」と、松田さんは撮影を振り返ります。

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粟島、ブイ(浮き)を使ったアート作品が置かれた「ブイブイガーデン」での撮影風景


映画のテーマは「家族の絆」ですが、そのほかにも国という枠を越えて分かり合うこと、日本の自然の美しさを改めて見直すことなど、スタッフ自身が撮影を通して感じた絆や、それぞれの熱い思いが込められています。この映画はさぬき映画祭で上映終了後、東京・上海・仙台などでの巡回上映を予定しています。



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高橋 彩