Biodiversity
2008.10.30 山田 由美
10月28日から韓国でラムサール条約の第10回締約国会議が開かれています。ラムサール条約とは湿地の保全に関する国際条約で、水田など人工的な湿地を含む生態学上、動物学上重要な湿地が登録の対象になっています(日本33カ所、世界1822カ所)。1980年以降からは参加国による締約国会議が開かれ、保全に関する国際的な議論や新たに登録する湿地の検討作業などが進められてきました。
今回日本は、開催国である韓国と「水田保全」に関する共同提案をする予定です。水田は米を生産するだけではありません。水鳥など野生生物のすみかとなったり、洪水を防いだり、さまざまな役割を担っています。両政府は今後、水田がもつ多様な機能を生かす「適切な管理」を呼びかけていきます。
稲作は世界114カ国で行われていると言われます。途上国では農薬の管理についてようやく関心が高まった段階で、生き物への配慮はこれから、とのこと。渡り鳥などがすみやすいよう冬も田に水を張ったり、魚が産卵しやすいよう周辺に水路を作るといった試みを広めている日本が、韓国と取り組みを後押しします。
同条約は多国間環境条約として先駆的な存在で今会議にも158もの国が参加します。この決議案が採択されれば、生き物の生息環境に配慮した農業への転換が期待できそうです。
関連するURL/媒体
http://www.asahi.com/eco/TKY200810180106.html