Biodiversity
2010.06.04 中川 真琴
Photo by Mike Barrow
サンゴの一部をかじりとり、そこに生える海藻を食べるオリオンスズメダイ(Pomacentrus tripunctatus)。自分の「サンゴ農園」に海藻を育て、それを他の魚から守るユニークな生態を持っています。オリオンスズメダイが好む農園はミドリイシ科のサンゴ。枝分かれしているため、農園としてだけでなく隠れ場所や巣としても最適です。ミドリイシは成長が早く、スズメダイに多少かじられてもすぐに回復できるという長所もあります。
しかし気候変動や環境悪化によりカリブ海のミドリイシの数は激減。過去1万2500年に渡ってミドリイシを愛用してきたスズメダイ、困った末にキクメイシ科のサンゴを農園代わりとして使い始めました。ところがキクメイシは成長が遅く、かじられた際、回復するのに何百年もかかります。枝分かれもないため、よい隠れ場所にもなりません。スズメダイのこの苦肉の策が、カリブ海のサンゴ礁の状態をさらに悪化させているとフロリダ工科大学のリック・アロンソン教授らがオンラインジャーナルのPLoS ONEで発表。サンゴ礁の回復にはミドリイシの保全が効果的と述べています。
関連するURL/媒体
http://www.sciencedaily.com/releases/2010/05/100527013236.htm