Biodiversity
2010.10.26 中川 真琴
この美しいサンゴ礁も、サンゴと褐虫藻(かっちゅうそう)の相利共生で築かれています(写真、Michael Barrow)
陸上植物には、根に菌根菌(きんこんきん)という菌類を持つものがあります。植物は光合成でできた糖分を菌根菌に与え、菌根菌は土壌から吸収した無機栄養分を植物に提供。このように異なる種がお互い利益を受ける関係「相利共生」は進化という長い年月をかけて形成され、ほとんどの動植物が何かしらの共生関係の中で生きています。アムステルダム自由大学のトビー・キアス教授らがEcology Lettersに掲載した論文によると、これら一つひとつの小さな関係が生態系全体に与える影響は今まで考えられていた以上に大きいということです。
しかしこの共生関係も人間による環境変化で壊れつつあるとキアス教授らは警告します。例えば菌根菌。もし人間が肥料という形で植物に無機栄養物を与え続けた場合、植物は菌根菌なしで生きられるよう進化するかもしれません。菌根菌との共生関係が失われた状態で人間が肥料を与えることをやめた場合、この植物は十分な養分を得ることができるでしょうか。
キアス教授らは「相利共生は植物の分布や炭素・養分循環といった地球規模の生態系にも影響を及ぼす。共生関係の崩壊、それに伴う種の絶滅という劇的な変化だけでなく、共生関係のわずかな変化も注目すべき」と指摘しています。
関連するURL/媒体
http://www.sciencedaily.com/releases/2010/10/101019111714.htm