Biodiversity
2011.06.14 奥山 賢治
震災前のアクアマリンふくしま (c)Okuyama Kenji
7月15日に開館11周年を迎える、水族館「アクアマリンふくしま」(福島県いわき市小浜名)。訪れた人が楽しみながら水中の自然環境を実感できる水族館と知られ、また2000年の開館以来、「海を通して人と地球の未来を考える」の基本理念のもと、「生物多様性」をテーマにした展示方法が多く取り入れられている施設となっています。
親潮の海と黒潮の海、2つの水槽が出合う三角トンネル。潮目の海である福島県沖を表現したアクアマリンふくしまの見どころのひとつだ
館内では魚類、ほ乳類、植物、鳥類など約22万以上の生き物が飼育されていましたが、東日本大震災の津波により甚大な被害を受け、館内の約9割にあたる、750種類の約20万匹もの魚を失いました。
その一方で、奇跡的に助かった生き物は全国の水族館、動物園などに移送、飼育されています。上野動物園(台東区)に避難したユーラシアカワウソは、避難当初、あまり食欲はありませんでしたが、徐々に体調を回復させ、6月からは飼育展示されています。鴨川シーワールド(千葉県鴨川市)では、ゴマフアザラシの雌が出産に無事成功。また一緒に避難してきたセイウチ、トドも新しい生活環境に適応し、水槽内を元気よく泳いでいます。ほかにも、新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)、伊豆・三津(みと)シーパラダイス(静岡県沼津市)、葛西臨海水族園(江戸川区)、井の頭自然文化園(武蔵野市)、マリンピア日本海(新潟県新潟市)でも、生き物の緊急避難を受け入れています。
今現在、アクアマリンふくしまでは復旧に向けて、館内スタッフはじめ、ボランティア団体や善意ある企業の協力によって、がれき撤去、水槽の塗装、清掃、補修など復旧作業が続いています。開館11周年にあたる7月15日には、営業再開(仮オープン)する予定です。
私たち人々と同じく、数多くの仲間を失いつつも、残されたアクアマリンふくしまの生き物たちも健気に生きようとしています。原発の問題もあり、完全復旧まではまだ時間がかかると思いますが、一日も早く、全国各地に避難している生き物たちが、アクアマリンふくしまへ元気に帰っていくことを願ってなりません。
関連するURL/媒体
http://blogs.yahoo.co.jp/fukushimaaqua