Biodiversity
2009.07.22 中川 真琴
湖の堆積物の中には、何十年、何百年もの間「眠っている」動物プランクトンなどの卵があります。その卵はまさにタイムカプセル。深く埋もれているほど古い時代の卵です。堆積物から取り出してふ化に適した環境に戻すと、卵は目覚め、自然にふ化します。現在生息する同じ種の幼虫が何十年もかけて進化してきたのに対し、堆積物から出されてふ化した幼虫は当時の姿と生態を残したまま。現在と過去の幼虫を比べることで、進化の過程を知ろうとするこの比較的新しい学問が復活生態学(Resurrection ecology)です。化石を調べる古生態学と違い、生物個体の生理面や行動面も観察できるのが特徴です。
この学問の草分け的存在であるコーネル大学のネルソン・ヘアストン教授は、ドイツのコンスタンス湖に生息する40年前のダフニア(甲殻類ミジンコ属)の卵をふ化させ、この湖におけるダフニアがいかに湖の汚染に適応してきたか調べ、論文にまとめています。進化論の謎解きに新しい光を投げかける復活生態学。今年9月にはスイスでシンポジウムも開かれる予定です。
関連するURL/媒体
http://www.sciencedaily.com/releases/2009/07/090716203205.htm