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2015.03.19 平澤 直子
写真提供:NTTデータ
1月、森永製菓がフェアトレードチョコレートの通年発売に踏み切りました。この例のように、チョコレートやコーヒーを製造・販売する企業がフェアトレード製品を商品化する従来の流れに加え、ここ1-2年は、本業と関係なく、企業の社内消費でフェアトレード製品に興味を持つ企業が増えてきているようです。
そこで、NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(略称:FLJ)の松井 譲治マーケティングマネージャーとNTTデータ社会貢献推進室の前田京子氏に話を聞きました。
NTTデータは、グローバルな貢献活動の一環として、世界で取り組まれているフェアトレードの考え方に共感しました。製造業ではない、ITが本業の会社がフェアトレードに取り組むため、社内で利用している製品に注目し、まず来客用のコーヒーをフェアトレード製品に替えるところから始めました。「フェアトレードの良いところはスモールスタートできるところ」と前田氏は言います。「始めやすいし、一度導入すれば手もかからない。普段何気なく消費しているものを(通常のコーヒーをフェアトレード製品に)切り替えるだけだから新たなコストもかからない。他の企業の方も知れば興味を持つのではないかと思います」
フェアトレードについて話す松井氏(左)と前田氏(右)
NTTデータではその後、社内カフェテリアにフェアトレード認証のアイスクリームを導入したり、社名入りバッグを紙袋だけでなくフェアトレード認証コットンのバッグも揃えたりと徐々にフェアトレード製品を増やしていき、2014年度の株主総会では株主へのお土産にフェアトレード認証ケーキを用意しました。「この取り組みはとても斬新で、他企業のCSR担当の方々も驚いているようです。」と松井氏は言います。ある調査によると日本でのフェアトレードの認知度は25%ほどですが、若年層に偏っていて、特に30代後半以上の男性のフェアトレードの認知度は低い状態です。認知度を高めるためにも「フェアトレード製品」を株主総会で活用することは絶好の機会なのかもしれません。
NTTデータの他にも、大日本印刷、コニカミノルタビジネスソリューションズ、NTTコミュニケーションズといった規模の大きい企業が来客用コーヒーや社内消費にフェアトレード製品を取り入れ始めています。また、「企業の消費量は大きいので、フェアトレードに共感する他企業・団体と連携した取り組みを行っていきたい」と前田氏は言います。フェアトレード認知度約80%のイギリスでは市民が参加するフェアトレードタウン(※)の効果もあり、フェアトレードが浸透したようですが、日本では、こうした企業活動とその連携の輪からもフェアトレードを広めるのに一役買いそうです。
※日本では2011年に熊本市が認定されている。名古屋市でも10日、市議会がフェアトレードを支持する決議を採択した。
関連するURL/媒体
http://www.fairtrade-jp.org/interview/interview.html?id=1430