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リサイクル大国スウェーデンで新たな試み
世界初の100%リサイクルのショッピングモール

2017.04.19 河内 秀子

北欧らしい、明るく洗練された内装

スウェーデン南部、エシルストゥーナ。この街に2015年8月にオープンしたショッピングモール「ReTuna Återbruksgalleria」は、世界初のコンセプトで大きな話題を呼んでいます。

なんと、ここで販売されているものは「新品」ゼロ! 洋服から家具にいたるまで、リサイクル、リユース、アップサイクルしたものだけを取り扱うモールなのです。


広々とした空間にゆったり展示。リペアのために50人の地元のアーティストを起用。「循環経済」は新たな雇用をも生み出す

市のリサイクルセンターと連携しているこの「ReTuna Återbruksgalleria」。運んできてもらいやすいようにドライブスルー形式に作られているリサイクルセンターでは、お客さんが持参した不用品を修理が必要なものは直し、きれいにして家具や家電、衣料品や玩具、ガーデニング用品など取扱小売店別に仕分け、モール内で販売。どうしても売れなそうなもの、修理不可能なものは、市の廃品回収に回します。モール内にはオーガニックの食事を提供するカフェが併設されていて、リサイクルを学ぶための学校や、展示スペースや会議室などもあり、環境に関するイベントなども企画されています。

人気のガーデニングコーナー。自転車やパソコンなどもある

昨年4月にモール内にオープンしたCAFÉ RETURAMA。ベジタリアンのオーガニックの軽食やケーキを提供する

既存のリサイクルショップに比べ、より「買い物を楽しんでもらう」ことに重点を置き、14店舗という種類の豊富さで、お客を呼び込みます。お客が増えれば、自動的に集まる不用品も増え、リサイクル率もアップするというわけ。

スウェーデンは、イケアや、H&Mといったファストファッション・ブランドなど低価格で、消費サイクルの短い商品を作り出している国でもありますが、実はゴミを他国から輸入しているほど(!)に、システムが進み、徹底されているリサイクル大国。いま、最終的に埋め立て処分場へ運ばれる家庭ゴミは、なんと全体の1%弱。そのため、ゴミを焼却しエネルギーにする革新的なリサイクル施設をより活用できるように、ノルウェーやイギリス、アイルランドなどから2015年には130万トン以上のゴミを輸入したというから驚きます。

「サステナビリティとは、我慢して生きることではなくて、今あるものをより豊かに生まれ変わらせることではないでしょうか」と、「ReTuna」は呼びかけます。毎日600人から700人のお客がここを訪れ、毎週火曜日15時から行われている見学ツアーも好評だそう(要予約、有料)。

限られた資源の中で、どうやって工夫して、楽しく生きるのか。「ReTuna」が提案する、新しいショッピング、ライフスタイルのあり方から学べることは多そうです。



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スウェーデン (ヨーロッパ/ロシア

河内 秀子