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労働者を死に追いやる「キラー・ジーンズ」、有名ブランドが続々禁止へ

2011.09.27 宮原 桃子

Jeans sandblasting:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by rronald_25

世代を超えて愛されるジーンズ。年間約50億着が生産されていると言われます。最近は、着古した質感のジーンズが人気ですが、その生産現場で労働者が深刻な病気や死に至っていることはあまり知られていません。

色落ちなどの着古した質感を出すには、薬品やレーザー、サンドペーパーなどによる加工、ストーン・ウォッシュなど様々な方法があります。中でも、エアコンプレッサーで生地に砂を吹きつける「サンド・ブラスティング」は、特定の部分だけに自然な加工を施すことができるため、近年よく用いられてきました。

この加工法では、安価な天然の砂が使われることが多く、これに含まれるシリカ(二酸化ケイ素)を工場労働者が大量に吸い込むと、深刻な肺の病気を引き起こす危険性があります。トルコやバングラデシュ、中国、メキシコなどのアパレル生産国では、労働者が高濃度のシリカを含む砂を、適切な設備もなく扱うケースが数多く確認されています。窓も空調もない場所で、労働者が口を布で覆う程度で加工を行っているのです。

トルコでは、4000、5000人もの労働者が珪肺(けいはい)症を患っていると推定され、判明しているだけで46人が死亡しています。トルコ政府は、2009年3月にシリカを含む材料による生地のブラスティングを禁止しましたが、それ以外の国々では現在も続けられていると見られています。

アパレル業界の公正な労働環境を求める団体クリーン・クローズ・キャンペーン(本部:オランダ、以降CCC)は、危険なサンド・ブラスティングで加工されたジーンズを「キラー・ジーンズ(殺人ジーンズ)」と呼び、昨年11月より反対運動を展開。各メーカーは本来、安全な設備でシリカを含まない材料を使用するよう管理することが求められますが、下請け工場をそこまで管理しきれていないのが実情。そこでリーバイスやH&Mなどが大手の中で先陣を切って、サンド・ブラスティング加工を禁止し、最近ではベルサーチやアルマーニなども追随。しかし未だ、ドルチェ・アンド・ガッバーナなどこの件に対応しない、もしくは禁止の方針を明確にしていないブランドも多数あります。CCCでは
、メーカーへの働きかけや署名運動を続けています。

服を選ぶとき、見た目や着心地だけでなく、誰の犠牲も伴わない本当に気持ちの良い服を選びたいものです。サンド・ブラスティングを禁止したブランドのリストを参考にしたり、KUYICHIを始めとするフェアトレード・ジーンズを購入してはいかがでしょうか。

CCCによる詳細リポートはこちら



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オランダ (ヨーロッパ/ロシア

宮原 桃子