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2012.07.17 瀬戸 義章
廃プラスチックを原料にして作られた平板。まるで木材のように見える
photo by yoshiaki seto
例えば、職場近くにある公園の木陰で、ランチを食べるとします。コンビニなどでお昼を買うとすれば、弁当の空き箱、パンの袋、ペットボトルの空き容器、使い終えたストローなど、さまざまなプラスチックゴミが出ます。ほとんどの自治体はプラスチックの分別回収を行っているので、みなさんも分けて捨てているでしょう。しかし、集めた後、どうやって、何にリサイクルされているのかはご存じでしょうか?
実は、意外なところでプラスチックのリサイクル品は使われています。ランチを食べたその公園にも、あるかもしれません。
廃プラスチックの再生加工を行うコダカ(埼玉県三郷市)にお邪魔して、リサイクルの過程を見学してきました。
プラスチックには、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリスチレンなど、様々な種類があります。各家庭から集められたプラスチックゴミは、まず洗浄され、種類ごとに分けられます。そして、ペレットとなって、再生工場に運ばれます。再生工場では、各プラスチックと木粉・顔料が配合され、200度近くに加熱されて溶かされます。液状になったプラスチックは金型に注ぎ込まれ、30、40分かけて冷却されます。
こうしてできるのが、プラスチックの《板》であり、《杭》です。木目が付いていて、焦げ茶色をしているので、遠目には木材のように見えます。廃プラスチックは、この工場で《土木資材》として生まれ変わっているのです。再生プラスチックの土木資材は、公園の手すりや遊歩道、展望台などに使われています。公園だけでなく、ゴルフ場や釣り堀、ホテルなどの施設でも利用されています。きっとみなさんも、どこかで見たことがあるはずです。
木製の手すりは腐食するので、5年ほどで交換が必要ですが、再生プラスチックの手すりは20年近く保(も)ちます。さらに低コストで作ることができ、軽いという再生プラスチックは、優秀な素材なのです。もっとも、プラスチックだけで作ると割れやすいので、木の粉を混ぜることで耐久性を上げています。コダカでは、鉛筆を作る際に出る木粉が再利用されていました。
実は、こうしたプラスチックの利用は、30年前から行われていたそうです。
「プラスチックをいちいち分別して捨てるのは大変かもしれません。でも、私たちが、こうしてきちんとリサイクルしています。だから安心してください」
案内してくれたコダカの代表取締役、高木真由美さんはそう教えてくれました。
取材協力:有限会社コダカ(埼玉県三郷市)、有限会社GREEN PLUS(東京都中央区)
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