Climate Change
2013.01.14 アマサワエンジィ
Bikers representing Yale Forestry Club!!:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by 350.org
米エール大学とジョージ・メイソン大学が成人1061人を対象に昨年8月31日から9月12日にかけて合同で行った「気候変動を抑制するためのアメリカ人の行動」についてのアンケート調査結果(PDF)が先月19日に発表されました。それによると、2008年の第1回調査(翌年より年2回調査)に比べ「自分たちの行動で温暖化を抑えることができる、と考える人は減っている」ことが明らかになりました。
「大半のアメリカ人が省エネを習慣にすれば気候変動を遅らせることができる」と答えた人の割合は2008年の78%から60%に減少し、また「先進国の個人個人の生活習慣の変化で温暖化を防止できる」と答えた人の割合も85%から70%に減少しました。
今回の調査結果から、一人ひとりの小さな行動が波及して起こる大きなアクションでさえ気候変動にストップをかけることはできないのではないか、という疑念が米国で広がりつつあると見ることができます。
しかし、調査を主導したエール大のアンソニー・ライゼロウィッツ教授は、個人行動の効果は薄いと考えているにしても、温暖化防止のために行動するアメリカ人は増えていると主張。「多くのアメリカ人は家庭で節電を行い、移動手段に気を遣い、消費の際は環境意識の高い企業の商品を選ぶ」と話しています。現に、今回の調査結果で「家で使用するすべて、あるいはほとんどの電球は(省エネ効果の高い)電球形蛍光灯である」と答えた人の割合は2012年3月調査時の40%から57%に上昇しており、「移動はいつも、あるいはよく徒歩、自転車を利用する」と答えた人の割合も同時期調査の11%から25%へと大きく増加しました。
一方で、これらの個人行動は周囲に働きかける市民活動には結びついていないことも分かりました。回答者の70%が「地球温暖化は起こっている」と答えたものの、「気候変動問題に取り組む団体への寄付やボランティア活動に参加した」と答えた人は15%、「問題について政治家に呼びかけた」と答えた人は12%に留まりました。
またコミュニケーション行動については「家族や友人と地球温暖化について話す」と答えた人は全体の29%だったものの、残りの71%は「ほとんど、または全く話さない」と答えました。
全体的な傾向としては、地球温暖化を信じる人は増え、温暖化防止のために行動する人は増えているものの、実際に自分たちの行動が解決につながっていると考える人は減っているようです。国民一人当たりのエネルギー消費量、二酸化炭素排出量ともに最大のアメリカ。今後もアメリカ国民の意識や行動の変化は気候変動を世界で議論していく上で重要なポイントとなるでしょう。
関連するURL/媒体
http://green.blogs.nytimes.com/2012/12/20/fewer-americans-say-their-actions-can-slow-climate-change/