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Climate Change

気候変動で渡り鳥の越冬地がより北へ

2013.05.14 山田 由美

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Goldeneyes:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Sergey Yeliseev


気温の上昇に伴い、渡りをする3種の鴨が越冬地を北にシフトさせているという研究結果が今年4月にイギリスで発表されました。

3種の鴨はキンクロハジロ、カワアイサ、ホオジロガモ。イギリス、アイルランドでよくみる渡り鳥なのですが、ここ30年で数が減っているというのです。夏は北極に近い高緯度の土地で繁殖し、冬には食べ物を求めて水が凍らないヨーロッパ各国に南下してきます。

Global Change Biologyで発表された論文によると、国境をまたいで移動する水鳥(水辺で生息する鴨のような鳥)の数を30年間に渡って集計・分析したところ、多くが夏の繁殖地に近い場所に滞在するようになったとのこと。

例えば、渡りの経路の北端に当たるスウェーデンやフィンランドでは1980年に比べて2010年に鴨が約13万羽増加していたのに対し、イギリス、フランス、アイルランド、スイスではその分数が減っていたのです。

この研究に携わった英・渡り鳥湿地基金(WWT)のリチャード・ハーン氏によると、イギリスとアイルランドでの個体数の減少割合は45〜60%にも上るそう。

これだけの変化が起きたのは、ヨーロッパの暖冬化が進んだため、と研究者は結論付けており、先のハーン氏は「1980年から2010年の間に初冬の南フィンランドの気温は3.8度上昇している」と観測データをもとに指摘しています。

飛ぶ距離が少なくなることはエネルギー効率の面からはいいのですが、越冬地が北にいきすぎても今度は食べ物がなくなるので、ずっと続く現象ではありません。また渡り鳥すべてが滞在場所を北上させているわけではなく、コハクチョウやビロードキンクロなどの水鳥はイギリスで減った分、ヨーロッパに散らばっています。これらは国際的に協力してモニタリングしないと様々なケースを把握できません。

鳥は気候変動の影響を受けやすく、既にこういった生息地を変えるなどの変化を起こしています。今後生息地や食べ物を失ったり、渡り経路を変えざるを得なくなるかもしれません。これからもこうした研究が進んで、包括的な生態系の変化の把握と保護対策のアクションにつながることを期待しています。



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山田 由美