Climate Change
2014.05.15 平澤 直子
5月11日、東京・清澄白河に12番目となる洋服ポストが開設されました。以前地球ニュースでも取り上げた洋服ポストは、眠っている衣類を集めて再度活用されるようにし、集まった衣類の重量に応じた金額を社会貢献活動に寄付する仕組みです。寄付先はポストごとに異なり、これまでは、女性シェルターや養護学校、地域の社会福祉協議会など、福祉関連の団体が多かったのですが、今回の寄付先は沖縄県サンゴ礁保全推進協議会、現在開設している洋服ポスト中唯一の環境関連団体です。
今回の「洋服ポスト さんごほぜん」を立ち上げたイラストレーターの風間重美(えみ)さんは、趣味のシュノーケリングで沖縄に行くたび、死んだサンゴを目にし、何かできないかと思っていたとのこと。そんな折、サンゴが養殖された海を見る機会に恵まれ、心を打たれたといいます。「長い棒の先についたザルの様な物に小さなサンゴが乗せられてたくさんたくさん海底に刺さっていました。工場のような、花畑のような不思議な光景だったのですが、魚たちがたくさん集まり、小さな魚たちは楽しそうにサンゴの間を行き来していました。 その姿がなんだかとてもいじらしく、心を打たれたのです。 養殖のサンゴでも魚たちにとっては嬉しいものなのだなと」
サンゴの骨格からなるサンゴ礁はさまざまな生物のすみかとなっていて、「海のオアシス」を形成しています。多くの生物の産卵場所や稚魚の成長場所としても利用され、そこで確認される生物は9万種を超えるといわれています。一方でサンゴも、サンゴ礁にすみ着く生物から栄養をもらうなどしていることから、サンゴと生物たちは共生し、一緒にサンゴ礁という海の一大生態系を作っているといえます。
ところが近年、海水温上昇などによる白化(※1)、天敵による食害(※2)、人間活動による海洋汚染などにより、世界中でサンゴ礁が減少しています。サンゴ礁が減少すると、前述の海洋生態系が崩れるだけでなく、二酸化炭素の吸収量も減少(※3)、また天然の防波堤としての役割も果たせなくなるため、海洋だけでなく地球全体への影響が懸念されます。
これを食い止めるため、サンゴの白化現象や病気の研究、天敵の駆除、サンゴの養殖など、現地ではさまざまな活動が行われています。こうした活動には直接参加できないけれど、自分も海を守りたい、地球を守りたい。そう思ったならば、眠っている衣類をを持って「洋服ポスト さんごほぜん」へ。毎月第2日曜日の開設です(6月は第3日曜日(6月15日)の開催です)。
※1 サンゴは共生する褐虫藻により紫や緑などの色をしているが、海水温の上昇などによる褐虫藻の死滅やかい離により色が抜け、白くなること。褐虫藻との共生が解消されるとサンゴは栄養を受け取れず、死滅する。
※2 サンゴの天敵オニヒトデの大量発生によりサンゴが食い荒らされること。
※3 サンゴ自体には二酸化炭素の固定能力はないが、サンゴと共生する生物により二酸化炭素が吸収される。
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