Climate Change
2012.03.13 アマサワエンジィ
国際日付変更線に近く、赤道をまたぐ国、キリバス共和国。美しいサンゴの島々から成るこの国は、気候変動による海面上昇から、国の全ての島々が水没する危機に直面しています。
将来の住居地確保のため、 同国のアノテ・トン大統領は今月9日、フィジー諸島最大の島、ビチレブ島内の6000エーカー(約24.3平方キロ)の土地を買収する計画を発表しました。この肥沃な土地はある教会グループが960万ドル(約8億円)で売りに出しており、買収はキリバスが抱える10万3000人の保険になるとしています。
「全ての人々をひとつの土地に移住させたくはないが、もしもその必要性が出たときはそう出来る。この問題は私よりも若い世代に深刻だ。彼らにとってこの問題は、選択肢のある移住問題ではなく、生き残りがかかっているのだから」と、トン大統領は近い将来への危機感を表しました。
キリバスの島々の水没は以前から懸念されており、2007年には同政権が日本の新聞社との会見で「我が国は早晩、海に沈むだろう」と発言。実際、32の環礁はすでに波をかぶっており、残った島々も海抜はわずか数メートル。そのため、いくつかの村はすでに移転しており、各地で島の地下水が海水に汚染される事例が増えているそうです。
国の存続をかけ、トン政権は防潮堤で島を補強する策や、浮島なども検討しましたが、最悪の事態が起こった際には他国への移住が生き残り策になるとしています。そして将来島を離れる際に難民ではなく、他国に受け入れられる移民として移住してほしいとの願いから、職業訓練プログラムをスタートさせています。
一方、キリバスから南へ2250キロに位置し、約85万人が暮らすフィジー共和国は、キリバスの動きに対して近々声明を出すそうです。トン大統領は計画の議会承認を待ち、4月にでもフィジー政府と正式に話し合いたいとしています。
キリバス政府は、フィジー以外にも、オーストラリアやニュージーランドなど多くの国に移民の受け入れを請願しています。
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