Climate Change
2009.02.18 高田 久代
南極海は最後の氷河期にこれまで考えられていたよりも、ずっと北方まで氷に覆われていたとの研究が発表され、気候変動を理解する新たな手がかりになるのでは、と期待されています。
オタゴ大学(ニュージーランド)博士課程在籍のセリドウェン・フレーザー氏率いる研究チームは、ブルケルプ(大型の海草の一種)のサンプルを亜南極諸島やニュージーランド、チリなど各国の沿岸で採取。浅瀬の潮間帯をすみかとし、潮の満ち干(ひ)による氷の移動の影響を受けるブルケルプの遺伝情報を詳細に分析することで、氷が後退した2万年前にこれらの地域に生息し始めたことを確認しました。一帯がそれまでは氷に覆われていたことを示す有力な証拠となりそうです。
南極海底の堆積物の調査したこれまでの研究では、南緯50度から55度付近に位置する南ジョージア島など亜南極諸島まで氷が到達していた証拠は見つかっていません。「もし、通説よりも氷が広範囲に存在していたなら、大気や海の仕組みの相互関係や気候変動について、私たちのこれまでの考えを再検証する必要があるでしょう」と、フレーザー氏は海流と風の循環パターンや氷が反射する太陽放射量などを例に挙げながら話しています。
関連するURL/媒体
http://www.reuters.com/article/environmentNews/idUSTRE51A2LL20090211