Think the Earth

今年６月にジャンバ・ジュース（全米で展開するスムージーのチェーン店、本社カリフォルニア）でスムージーを購入した10歳のミア・ハンセンちゃんは、大好きなお店で発泡スチロールの容器が使われていることが気になりました。「環境に悪影響を与え、海の動物たちを苦しめる発泡スチロールの使用をやめてほしい！」とミアちゃんは署名キャンペーンのプラットフォームサイト、Change.org で廃止を求める賛同を呼びかけることにしました。

キャンペーン開始後、ミアちゃんは短期間で13万人以上の署名を集めることに成功。８月21日、ミアちゃんは同社と直接電話で話し、封書で通知があったことをサイト上で報告。ジャンバ・ジュースは「2013年末までに全店で発泡スチロール容器の使用を禁止する」と公約したのです。

このミアちゃんの訴えを社会変革へと導いたアメリカ発のソーシャルベンチャー、Change.orgが創設されたのは2007年。当初は社会問題に取り組むNPOとそれらに興味を持つ個人をつなぐSNSを目指していましたがうまく行きませんでした。試行錯誤の上で2011年、社会問題解決を目指す誰もがオンラインで署名キャンペーンを始めることができるソーシャルアクションプラットフォームをサービスの中心へと移しました。その後同サイトは急成長を遂げ、現在サイト登録者は世界中で1600万人に上り、毎月約200万人増加しているそうです。そして毎月2万件にも及ぶキャンペーンが立ち上がっています。

これまでの主な成功例としては、ワシントンDC在住でナニー（子守り）をしている22歳の女性が、バンク・オブ・アメリカのデビットカード利用者への手数料導入計画を中止させたり、マサチューセッツ州の小学4年生のクラスがアニメ映画「ロラックスおじさんの秘密の種」の公式サイトに原作の主旨である環境保全の視点を加えさせるなど、年齢や性別、職業に関係なく様々なバックグラウンドの人たちが社会の「変えたい」を形にしています。

日本に関係する署名キャンペーンには、日本女子サッカー代表チーム「なでしこジャパン」の移動フライトに関するものがあります。ロンドン五輪に備えてパリに到着した女子チームのフライトが、男子とは異なるエコノミークラスだったことから、帰りは男女平等にしてほしいとファンが要望書を書いたのです。五輪開催中に始まったこのキャンペーンは世界各国のメディアで取り上げられ、賛同署名は2万を超えました。結果、日本サッカー協会は女子チームの帰国便を男子と同じビジネスクラスへ変更したのです。

Change.orgは現在世界15カ国で展開していて、日本でも近日公式版が立ち上がるそうです。インターネットから世界各国の社会問題を解決するツールとして、今後日本での広がりも期待されます。