the Earth
2012.12.20 山田 由美
宇宙から見て日中に青い地球上に見えるのは陸地と海と雲ですが、夜は漆黒の球体に光の濃淡だけが浮かび上がります。12月5日、その美しい姿の最新画像・映像をNASAが公開しました。
これはアメリカのNASA(航空宇宙局)とNOAA(海洋大気庁)が打ち上げた地球観測衛星「Suomi NPP」が2012年の4月と10月に宇宙からとらえた画像を合成したもの。この衛星の名前は衛星気象学の父と呼ばれる故・ヴェルナール・スオミ博士にちなんでつけられました。彼は人工衛星による地球観測技術の進歩に貢献し、その偉業のおかげで私たちは地球上の気候をテレビの天気予報などで知ることができるようになったのです。
昨年打ち上げられたSuomiが搭載する最新のセンサー「可視赤外撮像機放射計」(VIIRS)は、一艘(そう)の船の明かりといったわずかな光源まで検知できる優れもの。今まで夜間観測はアメリカ国防総省の気象衛星プログラムが40年ほどその役割を担ってきましたが、VIIRSの品質は格段に上がりました。
特殊なフィルタリング技術を使っていろいろな光をとらえます。眠らない都市が放つ光、中東のオイルやガスの探査で出る炎のような眩(まばゆ)い光もあれば、海に集まる漁船の小さな儚(はかな)い光もあります。真っ暗なヒマラヤと明るい居住地域を見るとその境目が判別でき、朝鮮半島は北緯38度の線で全く光が異なるのもわかります。人工的な光だけでなくオーストラリアの森林火災も見えます。
月明かりが照らした夜間の雲も見ることができます。今までは見えなかった夜の雲の発生状況もわかるため気候をより詳細に解析できるようにもなりました。(月明かりはなくとも雲の検知は可能)
眠らない地球は宇宙から見ると逆に、銀河や孤独な暗黒を持つ夜空のようです。
関連するURL/媒体
http://www.nasa.gov/mission_pages/NPP/news/earth-at-night.html