the Earth
2015.04.03 平澤 直子
ヨルダンでキャンペーンに参加する子どもたち ©GCE
世界で小学校に通えない子どもは5780万人、読み書きのできない大人は7億8100万人いると言われています。こうした事実の背景には、紛争や貧困、教育への無理解、社会的弱者への差別といったさまざまな問題がありますが、このことを知る人は意外と少ないのではないでしょうか。
基礎教育を受けることができない子どもたちの背景や現状を知ってもらうため、4月26日から5月31日、「世界一大きな授業」が開催されます。世界一大きな授業は、2003年にノーベル平和賞受賞者のカイラシュ・サティーアーティー氏らの呼びかけで始まりました。2000年に164カ国の代表が集まりセネガルのダカールで開かれた世界教育フォーラムで、すべての子どもと大人に基礎教育の権利を保障する「万人のための教育(EFA:Education For All)」という目標が定められたことを受けたものです。世界の教育の現状を世界中で同じ時期に学び、教育の大切さについて考えるグローバル・キャンペーンで、文字が読めないことを疑似体験できるアクティビティーから、教育担当大臣を招いての集会まで、世界100カ国以上で多種多様な授業・キャンペーンが展開されています。
なお、2000年のEFA目標採択時、各国の代表は2015年までに目標を達成することを約束しました。しかしながら、約束の年となる今年、その成果発表の舞台となる世界教育フォーラム2015(5月19日から22日まで韓国・仁川で開催予定)の開催に先駆けてユネスコが発表予定(4月9日発表予定)の報告書「万人のための教育 2000-2015:達成と課題」によれば、目標を達成した国は3分の1のみであるとのことです。よって、今年の授業は、「まだ目標が達成されていないこと」に焦点を当て、「達成されるためにはどんな支援が必要か」を考える内容になっており、世界の現状を知るだけではなく、実際に自分たちで解決策を考えるという画期的なプログラムとなっています。教材としては、今年は新たにノーベル平和賞受賞者のマララ・ユスフザイ氏のスピーチをもとにしたものや、本当に必要な教育援助を考えるためのロールプレイングゲームが導入されています。また、今年は番外編として、大学生が地元の国会議員に教育援助に関するインタビューを行う取り組みも実施予定で、授業後には政府への提言も行います。
2003年の開始時には200万人だった授業参加者も、2008年には885万人に増え、ギネス記録に認定されました。日本でも2003年の614人から2014年には6万9151人に増え、今年は10万人の参加を目指しています。参加資格は特になく、学校のほか、グループや家族単位での参加も可能です。一人でも多くの子どもに教育を。ご興味のある方はこちらからお申込みください。
世界一大きな授業に参加する小笠原村立母島小学校の子どもたち ©JNNE
関連するURL/媒体