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ドイツ国境を越える洗濯物を追ったドキュメンタリー

2009.06.03 河内 秀子

ベルリンの5ツ星ホテルから出る大量の汚れた洗濯物、実はポーランドで洗濯されています。そうした洗濯工場で働く女性たちにスポットを当てたドキュメンタリー映画「洗濯力の奇妙な世界(Die wundersame Welt der Waschkraft)」が5月に公開され、静かな話題を呼んでいます。

監督は「Lichter」(2003年)でポーランド国境の街を舞台に、国境を越えて働く人や越境を計画する人たちを描き、多くの映画賞を受賞したハンス・クリスティアン・シュミット。シュミット監督は、「ベルリンの5ツ星ホテルの洗濯物を請け負う、ドイツ資本の工場がポーランド国境の小さな村にあるという記事を読んだとき、Lichterにつながるものを感じた」と言います。

思い立って工場へ足を運んだ監督でしたが、最初、協力者は皆無。そこで働く400人の女性たちは、洗濯物を「24時間以内にホテルにお返し」するため、フル稼働する工場のハードなシフトに追われ、余裕などないのです。なんとか見つけた出演者は、工場を退職したばかりの娘がいるモニカさんと、給金のよい仕事を得るため渡英を考えている老いた母と、3人の子どもたちと共に暮すベアータさん。彼女たちの仕事と生活の様子に、工場長のインタビューなども織り交ぜて、映画は進んでいきます。そこには「労働市場のグローバル化」という建前の陰にある厳しい現実が、浮き彫りにされているのです。



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河内 秀子