the Earth
2009.10.30 中川 真琴
◆パヤタス地区の洪水被害
9月27日、マニラ首都圏の8割以上を冠水させた台風16号から約1カ月。主な通りからは水も引き、人々の暮らしは洪水前の状態に戻ったような印象すら受けます。しかし政府の行った支援から取り残された地域では、今も住民たちによる地道な復興活動が続けられていました。
マニラ首都圏ケソン市のパヤタス地区。ここにはケソン市のゴミ集積場があり、周辺住民の2-3割がゴミ山から資源を回収し換金することで生計を立てています。洪水の際、集積場に近い地域では屋根の上まで水に浸かり、住民は屋根をつたって避難しました。多くの住民が所有物を失い、回収してあった資源ゴミも流されました。現在もぬかるんでいるところが多く見られます。
幸い洪水による直接の死者は出ませんでしたが、汚染された水を飲んでレプトスピラ症という細菌感染病にかかり亡くなった方が出ています。洪水後、首都圏各地では政府機関やテレビ局などによる救援物資の配布がありましたが、集積場に近いこの地区までは届きませんでした。死者が出なかったことや裏通りにあって人目に付きにくい、アクセスしにくいことなどが理由ではないかと住民は考えています(vol.2に続く)。
写真:ゴミ集積場に隣接するパヤタス地区。後ろの小高い山はすべてゴミ(撮影協力:ICAN)
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