the Earth
2012.03.28 山田 由美
WMOのミシェル・ジャロー事務局長
High-level Panel on Global Sustainability:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by United Nations Information Service-Geneva
スイスのジュネーブに本部を置く世界気象機関(WMO)は、3月23日の世界気象デー(同機関が定めたもので1950年同日に世界気象機関条約が発効されたことを記念して1960年に制定された)にあわせて、気候変動に関する年次報告(PDF)を発表しました。
それによると2001年から2010年までの10年間は1850年に観測を初めて以来最も気温が高い期間となりました。陸地と海面の温度は長期平均気温14度(注:現在は1961-1990年を基準)から0.46度上昇。中でもカナダ、アラスカ、グリーンランド、アジア、北アフリカのほとんどの地域で1度から3度も上昇しています。さらに10年中9年は過去最も気温の高い年トップ10に入っており、中でも2010年は記録上最も暑い年でした。夏には各地で熱波による死者が続出し、平年より多い降雨の影響で洪水の被害も甚大でした。
また2011年はラニーニャ現象が起きた年としては最も暖かかったという観測結果も発表されています。同現象は、ペルー沿岸の海水温が下がることで世界各地で異常気象を引き起こしますが、今冬の日本の厳しい寒さの一因ともなっていました。
「これは今起きていることで、将来の脅威の話ではない。人間の活動により温暖化が進み、広い分野に、元に戻れない影響をもたらしている」とWMOのミシェル・ジャロー事務局長は警鐘を鳴らしています。
「温暖化」はなじみのある言葉になりましたが、実際数字で示されると深刻さもわかるものです。我々がニュースで見聞きする異常気象は限られた場所の話ではなく、世界全体で多発している事象。この発表は問題を点ではなく面でとらえてみるきっかけです。
関連するURL/媒体
http://www.wmo.int/pages/mediacentre/press_releases/pr_943_en.html