the Earth
2010.05.26 宮原 桃子
copyrjght:渋谷敦志
世界で深刻な児童労働の実態について5月7日、国際労働機関(ILO)が発表した報告書によると、2008年の時点で働く子どもの数は2億1500万人。2004年の調査時と比べてわずか3%減と、世界不況の影響で削減への動きはスローダウンしています。
年齢別・性別の統計では、5-14歳が10%減、女子が15%減と改善も見られる半面、男子は7%増、15-17歳は20%増と、市場競争のしわ寄せが子どもに向いている状況は変わっていません。また「最悪の形態の児童労働」(強制労働、人身売買、ポルノ・売春、兵士、危険・有害労働など)に従事する児童は、いまだに1億1500万人にも上ります。
5月10-11日にオランダのハーグで開催された国際児童労働会議では、2016年までに「最悪の形態の児童労働」を根絶するための具体的な行程表が決まりましたが、政府・企業・NGO・市民などが一丸となって対策に取り組まなければ、目標達成は困難です。
児童労働はいずれも貧困問題が根本にあるため、禁止するだけでは問題は解決しません。親世代が仕事の機会と公正な賃金を得られること、学校教育を受けやすい環境を整えることなどが必要不可欠です。
また近年は、ある産業が禁止に積極的でも、他産業に子どもが移るだけという現象もあり、産業界全体で取り組む必要があります。
大切なことは、私たち消費者が安い商品に飛びつくのではなく、安さの裏側で子どもが働いていたり、大人が休みなく給料ももらえずに働いている事例が数え切れないほどあるという現実をまず考えることです。
6月12日は児童労働反対世界デー。今世界の子どもたちに何が起こっているのか、考える良い機会ではないでしょうか。
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