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2014.12.15 宮原 桃子
フェアトレード・バナナのキャンペーンに参加するロンドンの中高生 ©Fairtrade London
2013年、世界のフェアトレード市場は前年より15%拡大し、約7115億円に達しました。その37%を占める最大の市場は、英国です。フェアトレード認証ラベル商品が誕生してから今年で20周年の英国では、消費者の8割以上がフェアトレード認証ラベルを認識しています。英国では、こうした商品を身近に感じて育った10代のティーンエイジャーを「フェアトレード世代(Generation Fairtrade)」と呼んでいるそうです。9月に英国のフェアトレード・ファンデーションが13~20歳までの1000人を対象に意識調査を行ったところ、97%はフェアトレード認証ラベルを認識し、82%が企業はもっと社会的責任を担うべきだと回答しました。
このフェアトレード世代の子どもたちの間で、フェアトレードを推進する学校を認定する「フェアトレード・スクール」運動が広がっています。約8年前に始まった活動により、今では英国で1000校を超える学校が認定されています。英国でフェアトレード・スクールに認定されるには、三段階を経なければなりません。まず「フェア・アウェア(意識)」では、校内のフェアトレードについての知識や意識を調査し、フェアトレードに関する授業を実施。次の「フェア・アクティヴ(行動)」では、校内でフェアトレード組織を作りアクションプランを策定、イベントやキャンペーン、講演、フェアトレードにかかわる社会見学などの具体的な活動を実施。最後の「フェア・アチーヴァー(達成)」では、校内のフェアトレードポリシーの策定、フェアトレード商品の利用、フェアトレードに関する授業を恒常的に行うことなどが求められます。これらを全て クリアした学校が、フェアトレード・スクールとして認定されています。
フェアトレード・ファンデーション最高責任者のマイケル・ギドニー氏は、前述の英国での意識調査結果から、このように述べています。「ファストファッションや次々と登場するスマートフォン上の新製品などを見て、今のティーンエイジャーは商品の値段やインスタグラムでいかに格好良く映るかといったことばかり気にしていると考えるのも無理はありません。しかし、英国の"フェアトレード世代"は、今私たちが直面しているグローバルな問題のことも深く考えています。彼らは家庭でフェアトレード商品を見て育ち、英国で1000にのぼるフェアトレード・スクールに通っている子どももいるでしょう。彼らは、フェアトレード商品の購入やオンラインの署名運動などのシンプルな行動で、企業や政府にもっと倫理的な行動を促すことができることを意識しています。うれしいことに、彼らは世界をより良くするために、自分たちの力を使いたいと思っているのです」
フェアトレード・スクールは、英国だけでなく、ドイツやオーストラリアなど様々な国に広がりつつあります(認定基準は各国により異なる)。日本でも、最近ではフェアトレードの授業を行ったり、文化祭などでフェアトレード商品を販売したりする学校も出てきています。日本で、フェアトレード・スクールが誕生する日も遠くないかもしれません。
関連するURL/媒体
http://schools.fairtrade.org.uk/fairtrade-schools