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パレスチナ難民キャンプから一流大学の合格を目指す「e-Education」

2012.03.29 木村 絵里

税所篤快さん、パレスチナにて

2010年からバングラデシュで教育改革に取り組んできた早稲田大学生の税所篤快(さいしょあつよし)さん(23)。今年はパレスチナ難民キャンプで活動することになりました。

税所さんが取り組む「e-Education」プロジェクトは、経済的な理由で塾に通えない高校生を対象に、一流の講師の授業を収録したDVDを見せて学んでもらい、大学進学を目指してもらうというもの。

バングラデシュでは日本と同じくらい受験戦争が高い一方で、先生の数が足りず、また予備校の費用が高額なため裕福な家庭の子どもしか通うことができないという問題があります。

自身が高校生のときに通っていた予備校の授業モデルである映像授業をバングラデシュにも導入し、1期生30人のうち1人が最難関のダッカ大に合格、他にも20人が名門大学に合格することができました。この活動は軌道に乗り、5月からは現地のスタッフに任せて新たな授業が始まる予定です。

税所さんはプロジェクトの5大陸制覇を目指し、活動の場をヨルダンへ移しました。その理由を尋ねると、「バングラデシュの次の国を探しているときに、偶然ヨルダンのワヒダット難民キャンプを訪れました。海外青年協力隊の方に授業風景を見せてもらうと、挙手率が激しく、生徒たちの勉強へのモチベーションがとても高いことにびっくりしました! それでもキャンプ全体としては優秀な先生が不足していることを受けて実行を決意した」そうです。

ヨルダンは、中東では有名な「超学歴社会」で、バングラデシュ同様に経済的な理由による教育格差があります。そこでこのプロジェクトを通して「お金がない→いい教育が受けられない→いい職がない→希望がない」という負のスパイラルを壊し、国内最高峰のヨルダン大学合格者を輩出することで「この世界に不可能はない」という希望をパレスチナ難民の子どもたちに伝えたい、と意気込んでいます。

同時に「とにかく小さく、小さく、1人の生徒の人生に小さくていいから貢献することを意識してやってきたいです。パレスチナでは自然体で楽しく、生徒に貢献できたらいいですね」とも。

現在は運営資金を調達したり、現地の一流講師による授業を撮影したりと準備を進めています。難民キャンプから大学生が誕生する日が楽しみです。



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このニュースの地域

ヨルダン (アジア/オセアニア

木村 絵里