Education
2012.08.24 ささ とも
ワークショップ2日目、舞台上でおもいっきり体を動かし、大きな声で合唱し、生き生きとした表情で歌やダンスを披露した子どもたち(中央が金井さん) photo by ささとも
「みんなでいっしょにミュージカルをつくろう!」と20代の女性が率いる都内の劇団が8月9、10日に2日間のワークショップを開催しました。主催したのは東京・世田谷の「プラスニューカンパニー」。プラスニューカンパニーは「教育に演劇を取り入れて子どもたちの自己肯定感をはぐくむ」という理念のもと、舞台や教育に携わる若者や学生たちのグループが2009年に設立しました。
代表の金井麻衣子さんは、「大学時代にアメリカのパフォーマンス集団のワークショップに参加したとき、歌・ダンス・芝居を経験しながら次第に自発的に取り組むようになったり、他人を認めて協力し合ったり、自分を好きになったりと、内向的だった人が生き生きと自分を表現できるようになっていく様子を見て、日本でもこうした活動を広めたいと思った」と熱心に語ってくれました。活動は主に学校や福祉施設などで、公演の後、観客と一緒に踊ったり、歌ったりしてパフォーマンスをつくり上げていく手法です。今回ワークショップが行われた神奈川県海老名市での公演は4回目。7月下旬には夏休み中に同市主催で行われるサマースクールの一環として同様のワークショップを実施するなど、学校と連携した活動も広げています。
参加したのは小学生から中学生の約40人。7月のサマースクールの楽しかった経験が忘れられず、「プラスニューカンパニーのお兄さん、お姉さんに会いたい!」とワークショップに参加した子どもたちもたくさんいました。1日目はゲームで緊張をほぐしながらお互いの名前を覚え、実際にプラスニューカンパニーのパフォーマンスを観てから、ダンスや歌を学びました。2日目はチームに分かれ、舞台の振り付けを覚えました。夕刻から始まる舞台では、プラスニューカンパニーのレビューショーの後、いよいよ子どもたちが2日間の成果を発揮するショーです。舞台上の子どもたちはみな精一杯の演技を披露し、観客席に笑顔を振りまいてくれました。最後の舞台上では代表の子どもたちがマイクを持って、「今はダンスをすることもないけれど、ワークショップに参加してちいさい頃に戻ったみたいで楽しかった」(中学生の女の子)、「夏休みの最高の思い出になった。また参加したい」(小学生の男の子)など充実感あふれる感想を述べてくれました。
家庭や学校以外にも子どもたちがおもいっきり自分を出せる機会があること、一緒になって何かをつくり上げることで達成感を得られること、それを経験して違う自分を知ること―いじめや自殺など子どもをめぐる問題が後を絶たない今、忘れかけていた大切なことを思い出させてくれた気がします。
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