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Energy

市民の力でエネルギーを作り出せ! 未来をのぞけるドキュメンタリー

2013.07.02 木村 俊介

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本編がはじまって、間もなく、心地良いギターのアルペジオと共に、海上に並ぶ数機の風力発電用のタービンが映し出される。空と海、二つの青の境界で、穏やかに回るプロペラは、すっかり自然に溶け込み、その光景からは幻想的な美しささえ感じられます。それは基地のような見た目をした、火力、原子力といった発電所の異様さとは対照的なものと言えるでしょう。

これは100%クリーンエネルギーへのシフトに成功したデンマーク・サムソ島の風景のひとつです。

映画「パワー・トゥ・ザ・ピープル〜グローバルからローカルへ〜」(監督:サビーヌ・ルッベ・バッカー)は、オランダで再生可能エネルギーの普及に取り組む活動家や、先のサムソ島のような事例をとりあげながら、持続可能な社会の重要性とその実現性を示してくれます。はじめからおわりまで、明るい展望とメッセージに満ちたドキュメンタリーです。

本作のナビゲーターである、文明批評家のジェレミー・リフキン氏は、本編の中で、電力の消費者が自らその供給者へと変わる必要性を説きます。市民が、風力や太陽光といった再生可能エネルギー源を用いた自家発電を行うことで、従来のような電力会社への依存を減らすことができるのはもちろんのこと、余剰が出た際はそれを売って、利益を得ることもできます。

また、リフキン氏は、電力の自給自足が行われることで、経済のシステムや人々の意識に変化が起こり、それによって地方を軸とした有機的な社会が実現するとしています。それは、顔の見えない大企業に依存する社会から、地域間での密接な関わりが求められる社会へと移行するということです。リフキン氏はこれを、小さな社会の実現、と言います。

街を歩けば、あちらこちらの屋根にソーラーパネルがついていて、遠くで風力発電のプロペラが回る。人々は、太陽が出れば日差しに感謝し、風が吹けば、手を叩いて喜び合う。そんな光景が、近い将来日本でも見られるかもしれません。ISEP環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏は「私たちにはすでに技術も政策も資金も方法もある」と言います。

「パワー・トゥ・ザ・ピープル」は現在、全国各地で自主上映会が開催されています。3.11以降を生きる私たちへ届けられた明るいメッセージです。是非ご覧ください。詳しい上映情報はこちらから。

また、関連企画として、7月上旬から11月上旬までの間、南米のパタゴニアでオフグリッドスクールを開講予定の中渓宏一さんが、BDF(バイオディーゼル燃料)車で移動しながら、全国各地で「パワー・トゥ・ザ・ピープル」の上映会をされるそうです。こちらもあわせて、チェックしてみてください。



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このニュースの地域

デンマーク (ヨーロッパ/ロシア

木村 俊介