NTT DATAThink Daily

  • 地球リポート
  • 地球ニュース
  • 緊急支援
  • 告知板
  • Think Dailyとは

地球ニュース

RSSrss

Energy

電力網をインターネット化する「デジタルグリッド」とは?

2013.10.22 奥山 賢治

Wind generation of northern Hokkaido:Creative Commons,Some Rights Reserved,Photo by Kevin Jaako

もし、電力システムがインターネットのように自在にコントロールできたら......。そのような画期的な発想で注目されているのが、東京大学の阿部力也教授が研究開発している「デジタルグリッド」。この電力システムは今まで一方通行だった電力コンバーターの代わりに、インターネットと同じようにIPアドレスを付加し、蓄電機能を持たせた「デジタル・グリッド・ルーター」を採用することにより、電力の流れを自在にコントロールするもの。既存の送電線をそのまま使用できるため、最小限の設備投資で、適切な電力を安定供給する送電網をつくることが可能です。

とりわけ、原子力発電の不安や危険性から、風力、波力、地熱、太陽光、バイオマスといった自然エネルギー、電力の流れを最適にする送電網「スマートグリッド(次世代送電網)」が各地で取り組まれているものの、その激しい供給変動が問題視されています。

また、従来の送電線は大規模な発電所から一方的に電力を送る方式ですが、ピーク時を基準とした容量設定では、電力需要との間にムラが生じますし、需給の不一致は大規模停電の原因となります。

従来の技術では自然エネルギーのシェアを高めることが難しかったのですが、デジタルグリッドであれば、停電を招くことなく、自然エネルギーのシェアを高めることができるのです。さらに、IPアドレスにより発電方法と電気の経路を識別できるため、エネルギーシフトに関心の高い生活者にとっては、電気を産直、指定して選べることも画期的な特徴であり、新しい地域貢献の可能性も秘めています。

すでに、2011年9月に設立された一般社団法人「デジタルグリッド・コンソーシアム」はオリックス、日本電気、日本ナショナルインスツルメンツなどと共同して、デジタルグリッドのビジネスモデル化を進めています。自然エネルギーを有効活用できるという、その斬新さから、デジタルグリッドは世界中で注目されはじめており、日本のみならず、途上国などをはじめ、世界中の電力インフラに新たな創造性を生むこととなりそうです。



関連するURL/媒体

Bookmark and Share

Thinkテーマ別に読む

Energy, Technology

このニュースの地域

東京、日本 (日本

奥山 賢治